ドラキュラ伯爵の恋【2】
2008年2月19日 宝塚(花)花組バウ・ワークショップ「蒼いくちづけ」について。
メイン4人については先日書きましたので、今日は、作品と他のキャストを。
この作品は、一幕も二幕も同じロンドン郊外の邸を舞台にしていますが、時代が違っています。
一幕は「1887年」。「120年前」である19世紀末。
二幕は「2008年」。「現代」つまり、21世紀初頭。
(21年前の初演では、二幕が「1987年」で、100年後という設定だったそうですね。というか、上演年ありきで一幕を1887年にしたんでしょうけれども)
19世紀末には普通に貴族(ウェステンラ家)の別荘であったカーファックス荘。
21世紀には、120年前に吸血鬼がこの邸に現れたという伝説によって「ドラキュラ博物館」になっている、という設定が楽しかったのですが。
この一幕と二幕の「異世界感」が、すごくよく出ていたと思いました。
同じロンドンの、同じ邸を舞台を舞台にしながら、「120年」という時間が流れたことを意味のある舞台装置として使っていたのが、さすがというか。
物語は邸の中だけで進むので、実際に「時代は変わった」ことを示すものは、登場人物の中にしかない。一人ひとりの衣装と、髪と、態度と、言葉遣いと、そして、考え方と。
きらりちゃんの芝居に、この「異世界感」がすごくあって。
それがとっても良かったし、観てて嬉しかったところでした(はぁと)。
ふみかちゃんや扇くんは完全に「二役」で、全く違う人格でしたけど、きらりちゃんだけは「生まれ変わりオチ」でこそないけど、同じ人と恋に落ちるので。
違う人なんだけど、同じ魂を持っている、という存在なんだと思うんですよね。それがすごく良い感じで出ていて、私は好きでした♪
逆に、主人公のめおちゃんだけは、一幕も二幕も全く同じ存在なんですね。だけど、時代が違うから、一幕はただただ「かっこいい!」と思わせる大仰な仕草や時代がかかった言葉遣いを、そのまんま二幕でやるところがすごく笑える。
多分、実際には「全く同じ」ではなく、二幕では意識してすこーし大袈裟にやっているんだろうと思うんですけどね(ウケるように)、ちゃんと「めおちゃんは一幕と同じことやっているのに、なんかオカシイ!」と思わせてくれたのが凄いな、と。
まぁ、これは小池さんの演技指導も良かったんでしょうけれども。
ルーシー(19世紀)はジョナサンと共に“家を守る”ことを選び、ヴィーナス(21世紀)は弟ノエルに全てを託して“恋”を選ぶ。
もちろんヴィーナスとルーシーは別人で、全く別の人生をたどってきたのだからその選択が違うのは当たり前なのですけれども。
でも、その選択にはやっぱり、19世紀末と21世紀、という時代の影響、“家”と“個人”、どちらを取るか、という時代の考え方の違いがあるんですよね。
ルーシーの凜とした美しさと、ヴィーナスのキビキビとした可愛らしさ。
時代が求める美しさと個性、それが、ドラキュラ伯爵が選ぶ『美』と同じものなのだろうと思いました。
何百年も生きていても、彼の感性は古びない。つねに、その時代が求める『美』を、彼は求めるんですね。
だからこそ、彼は常に『美』の象徴でいられるのです。
時代を超えて、求められ続ける『美』そのもの、の。
作品自体は、やっぱり古いなー、とも思いましたが。
21年前の初演の頃は、まだ「ドラキュラもの」がコメディに堕す前だったと思うので(その後、三谷幸喜とかもやっちゃいましたしね…)、観客にとってはものすごく新鮮だっただろうな、と思うんですよね。
でも、「薔薇の封印」などなど、いくつかの“小池さん流コメディ”のオリジナルとしてのこの作品を、21年前に作ったのか、と思うと、彼の才能に感服せずにはいられません。
ある意味、彼はこの頃から「エリザベート」初演直後くらいまでの貯金で現在も食いつないで(脚本のネタとしても、演出のネタとしても)いるんだなあ、と、少しさびしい思いもあります。
でも、元々才能が無いわけではないんですから。
またリフレッシュして、「21世紀の」名作を創ってくださいますように、心の底から祈っております。
……というわけで、以下出演者について(一幕での役を中心に)。
ルーシー(きらり)の両親・ウェステンラ夫妻は、絵莉千晶さんと紫陽レネさん。
お二人とも的確な演技で、物語を締めていました。
絵莉さんは、どちらかというと二幕でのジョニー(扇)の母親役の方が印象的かも(^ ^)。
ルーシーに求婚する金持ちの莫迦息子(?)・アーサー・ゴダルミングは瀬戸かずやさん。すらっとスタイルがよくて、カッコよかったです。はい。
その父親・ゴダルミング卿はかりやん(貴怜良)。これがまた、イケイケダンディなおじさまで惚れそうでした。
カーミラ(花野じゅりあ)との色っぽいダンスがとてもステキ★
カーミラは、ウェステンラ卿の妹(ルーシーの叔母)という設定だったと思います。しっとりとした色っぽい美女で、夫に別れて次の金づるを物色中、みたいな役だったような。
クリス(天宮菜生)とピーター(冴月瑠那)という二人の息子がいるとは思えないほど若くて美しい、でもいかにも“人妻”で“母親”な色気と危うさのある未亡人でしたね(はぁと)。久々の嵌り役だったんじゃないかと思います♪
二幕の、小池さんの作品によく出てくる殺し屋系の3人組の女もカッコよかった〜!あの腰までスリットのタイトスカートが、小池さんごちそうさま、って感じでした(おい)。
あと印象に残ったのは、天宮菜生くんかなー。一幕では、ドラキュラ伯爵に魅了されてしまう美少年クリス(カーミラの息子)。二幕ではヴィーナスの弟・アイドル予備軍のノエル少年。
とにかく『美少年』なんですよね、この子は!なんというかのかな。“耽美”をやらせたら右に出るものはいないんじゃないかと思うほど、そして、“金髪マッシュルームカットがこんなに似合う子がいたのかっ!”と思ってしまうほどの、透明感のある美少年。
前からお気に入りだったのに、普通にリーゼントして群舞で出てくると見つけられなかったりしがちだったのですが(汗)、今回かなり目に焼き付けたので、もう大丈夫かな(^ ^)。
声も良いんですねー。歌えるとは思ってもいなかったので(失礼)とってもびっくりしました。
ぱっと見た感じ、ピーターの冴月くんの方が体格もいいし、顔立ちも男らしくて年上に見えるんですけど(汗)、いちおうクリスがお兄ちゃんっていう設定でいいのかなあ?(よくわからなかった)
しっかし、あんなおにいちゃんがいたら弟は心配だろうなぁ……(←何がだ)
冴月くんは、二幕ではかりやん&じゅりあと一緒に、デイヴ(紫峰七海)の部下のヤバイ系3人組。…しかも、女装(!)。
っていうか、私は冴月くんがわかっていなかったので。
「花組さんカッコイイ女役さんがいるんだなー、じゅりあは色っぽいし、この人は男前だし、人材豊富♪♪」
くらいに思っておりまして。
……プログラム見て仰天しました。
はい、美人でした(*^ ^*)。
あと印象に残ったのは、レンフィールドの真瀬はるかくん。
こんなに巧い子、今までそれなりに新公観てるのにぜんぜん気がつかなかったよ…(↓)と落ち込んでいたのですが。
……研2だったとはっ!!いやー、本当に驚愕でした。
あの巧さで研2…しかも、ただ“巧い”だけじゃなくて、ちゃんと「男役の芝居」が出来ているだなんて。
そんなに身体に恵まれている感じでもないのに、凄いです!
あの学年で、あの声で喋れて、あの音域で歌えて、あの顔(男役の貌)で踊れるなんて!!
一幕のレンフィールドがまぐれじゃなかった証拠に、二幕でもジョニーのバックダンサーメンバーの一人として、しっかり良い位置で踊っていたんですよね。
これから新公楽しみだなあ、と思いました。
いやはや…こないだ落ちたばかりの星組の真風涼帆ちゃんといい、92期おそるべし(^ ^;ゞ
他にも可愛い下級生、巧いなーと思った下級生、いーっぱいいたのですが。
……ごめんなさいm(_ _)m。これからじっくりと勉強させていただきます……(^ ^)。
後半の部は、残念ながら観にいけそうにありませんが。
CSでの放映を、楽しみにしています!!がんばれがんばれ、花組若手♪
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メイン4人については先日書きましたので、今日は、作品と他のキャストを。
この作品は、一幕も二幕も同じロンドン郊外の邸を舞台にしていますが、時代が違っています。
一幕は「1887年」。「120年前」である19世紀末。
二幕は「2008年」。「現代」つまり、21世紀初頭。
(21年前の初演では、二幕が「1987年」で、100年後という設定だったそうですね。というか、上演年ありきで一幕を1887年にしたんでしょうけれども)
19世紀末には普通に貴族(ウェステンラ家)の別荘であったカーファックス荘。
21世紀には、120年前に吸血鬼がこの邸に現れたという伝説によって「ドラキュラ博物館」になっている、という設定が楽しかったのですが。
この一幕と二幕の「異世界感」が、すごくよく出ていたと思いました。
同じロンドンの、同じ邸を舞台を舞台にしながら、「120年」という時間が流れたことを意味のある舞台装置として使っていたのが、さすがというか。
物語は邸の中だけで進むので、実際に「時代は変わった」ことを示すものは、登場人物の中にしかない。一人ひとりの衣装と、髪と、態度と、言葉遣いと、そして、考え方と。
きらりちゃんの芝居に、この「異世界感」がすごくあって。
それがとっても良かったし、観てて嬉しかったところでした(はぁと)。
ふみかちゃんや扇くんは完全に「二役」で、全く違う人格でしたけど、きらりちゃんだけは「生まれ変わりオチ」でこそないけど、同じ人と恋に落ちるので。
違う人なんだけど、同じ魂を持っている、という存在なんだと思うんですよね。それがすごく良い感じで出ていて、私は好きでした♪
逆に、主人公のめおちゃんだけは、一幕も二幕も全く同じ存在なんですね。だけど、時代が違うから、一幕はただただ「かっこいい!」と思わせる大仰な仕草や時代がかかった言葉遣いを、そのまんま二幕でやるところがすごく笑える。
多分、実際には「全く同じ」ではなく、二幕では意識してすこーし大袈裟にやっているんだろうと思うんですけどね(ウケるように)、ちゃんと「めおちゃんは一幕と同じことやっているのに、なんかオカシイ!」と思わせてくれたのが凄いな、と。
まぁ、これは小池さんの演技指導も良かったんでしょうけれども。
ルーシー(19世紀)はジョナサンと共に“家を守る”ことを選び、ヴィーナス(21世紀)は弟ノエルに全てを託して“恋”を選ぶ。
もちろんヴィーナスとルーシーは別人で、全く別の人生をたどってきたのだからその選択が違うのは当たり前なのですけれども。
でも、その選択にはやっぱり、19世紀末と21世紀、という時代の影響、“家”と“個人”、どちらを取るか、という時代の考え方の違いがあるんですよね。
ルーシーの凜とした美しさと、ヴィーナスのキビキビとした可愛らしさ。
時代が求める美しさと個性、それが、ドラキュラ伯爵が選ぶ『美』と同じものなのだろうと思いました。
何百年も生きていても、彼の感性は古びない。つねに、その時代が求める『美』を、彼は求めるんですね。
だからこそ、彼は常に『美』の象徴でいられるのです。
時代を超えて、求められ続ける『美』そのもの、の。
作品自体は、やっぱり古いなー、とも思いましたが。
21年前の初演の頃は、まだ「ドラキュラもの」がコメディに堕す前だったと思うので(その後、三谷幸喜とかもやっちゃいましたしね…)、観客にとってはものすごく新鮮だっただろうな、と思うんですよね。
でも、「薔薇の封印」などなど、いくつかの“小池さん流コメディ”のオリジナルとしてのこの作品を、21年前に作ったのか、と思うと、彼の才能に感服せずにはいられません。
ある意味、彼はこの頃から「エリザベート」初演直後くらいまでの貯金で現在も食いつないで(脚本のネタとしても、演出のネタとしても)いるんだなあ、と、少しさびしい思いもあります。
でも、元々才能が無いわけではないんですから。
またリフレッシュして、「21世紀の」名作を創ってくださいますように、心の底から祈っております。
……というわけで、以下出演者について(一幕での役を中心に)。
ルーシー(きらり)の両親・ウェステンラ夫妻は、絵莉千晶さんと紫陽レネさん。
お二人とも的確な演技で、物語を締めていました。
絵莉さんは、どちらかというと二幕でのジョニー(扇)の母親役の方が印象的かも(^ ^)。
ルーシーに求婚する金持ちの莫迦息子(?)・アーサー・ゴダルミングは瀬戸かずやさん。すらっとスタイルがよくて、カッコよかったです。はい。
その父親・ゴダルミング卿はかりやん(貴怜良)。これがまた、イケイケダンディなおじさまで惚れそうでした。
カーミラ(花野じゅりあ)との色っぽいダンスがとてもステキ★
カーミラは、ウェステンラ卿の妹(ルーシーの叔母)という設定だったと思います。しっとりとした色っぽい美女で、夫に別れて次の金づるを物色中、みたいな役だったような。
クリス(天宮菜生)とピーター(冴月瑠那)という二人の息子がいるとは思えないほど若くて美しい、でもいかにも“人妻”で“母親”な色気と危うさのある未亡人でしたね(はぁと)。久々の嵌り役だったんじゃないかと思います♪
二幕の、小池さんの作品によく出てくる殺し屋系の3人組の女もカッコよかった〜!あの腰までスリットのタイトスカートが、小池さんごちそうさま、って感じでした(おい)。
あと印象に残ったのは、天宮菜生くんかなー。一幕では、ドラキュラ伯爵に魅了されてしまう美少年クリス(カーミラの息子)。二幕ではヴィーナスの弟・アイドル予備軍のノエル少年。
とにかく『美少年』なんですよね、この子は!なんというかのかな。“耽美”をやらせたら右に出るものはいないんじゃないかと思うほど、そして、“金髪マッシュルームカットがこんなに似合う子がいたのかっ!”と思ってしまうほどの、透明感のある美少年。
前からお気に入りだったのに、普通にリーゼントして群舞で出てくると見つけられなかったりしがちだったのですが(汗)、今回かなり目に焼き付けたので、もう大丈夫かな(^ ^)。
声も良いんですねー。歌えるとは思ってもいなかったので(失礼)とってもびっくりしました。
ぱっと見た感じ、ピーターの冴月くんの方が体格もいいし、顔立ちも男らしくて年上に見えるんですけど(汗)、いちおうクリスがお兄ちゃんっていう設定でいいのかなあ?(よくわからなかった)
しっかし、あんなおにいちゃんがいたら弟は心配だろうなぁ……(←何がだ)
冴月くんは、二幕ではかりやん&じゅりあと一緒に、デイヴ(紫峰七海)の部下のヤバイ系3人組。…しかも、女装(!)。
っていうか、私は冴月くんがわかっていなかったので。
「花組さんカッコイイ女役さんがいるんだなー、じゅりあは色っぽいし、この人は男前だし、人材豊富♪♪」
くらいに思っておりまして。
……プログラム見て仰天しました。
はい、美人でした(*^ ^*)。
あと印象に残ったのは、レンフィールドの真瀬はるかくん。
こんなに巧い子、今までそれなりに新公観てるのにぜんぜん気がつかなかったよ…(↓)と落ち込んでいたのですが。
……研2だったとはっ!!いやー、本当に驚愕でした。
あの巧さで研2…しかも、ただ“巧い”だけじゃなくて、ちゃんと「男役の芝居」が出来ているだなんて。
そんなに身体に恵まれている感じでもないのに、凄いです!
あの学年で、あの声で喋れて、あの音域で歌えて、あの顔(男役の貌)で踊れるなんて!!
一幕のレンフィールドがまぐれじゃなかった証拠に、二幕でもジョニーのバックダンサーメンバーの一人として、しっかり良い位置で踊っていたんですよね。
これから新公楽しみだなあ、と思いました。
いやはや…こないだ落ちたばかりの星組の真風涼帆ちゃんといい、92期おそるべし(^ ^;ゞ
他にも可愛い下級生、巧いなーと思った下級生、いーっぱいいたのですが。
……ごめんなさいm(_ _)m。これからじっくりと勉強させていただきます……(^ ^)。
後半の部は、残念ながら観にいけそうにありませんが。
CSでの放映を、楽しみにしています!!がんばれがんばれ、花組若手♪
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