雪組大劇場公演「君を愛してる/ミロワール」を観劇してまいりました。


「ホフマン物語」の話も、まだ全然終わってないのに突然すみません。
ふと気がつけば、もう「Hollywood Lover」の青年館初日も目前!
初日までにハリウッドがらみの話は一通り終わらせるつもりだったのに、まだまだ本当にさわりしか書いてないし、でも、だからといってこのまま放っておいたら、せっかく観てきた雪組公演をすーっかり忘れてしまいそうだし(涙)というわけで、その前に。




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「君を愛してる」

ごくごくシンプルな、邪気のないハッピーミュージカル。
とにかく楽しかったです。私は思いっきり楽しんでました(^ ^)。


ただし。
この作品を楽しむには、2つほどコツがあります。
せっかくなので、このコツを伝授してみますねっ♪♪

●【キムラ作品観劇時乃心得 1】
台詞も歌詞も、日本語ではないと信じる。

まず、“これは洋画なのだ”と思い込みましょう。開演前に3回唱えるといいかもしれません。
語られている言葉は日本語ではなく、キムラ語です。日本語じゃないんだから、意味がわからなくて当たり前。むしろ、意味がわかるような気がすることを警戒しましょう。それは気のせいです。たぶん、間違ってます。
あなたにキムラ語がわかるわけがないんですから。

真剣に観ていれば、自然と心のスクリーンに字幕が見えてきます。そんなに複雑な話ではないので、話がわからなくなる心配はいりません。あなたの心のスクリーンに出る台詞が、歌詞が、本当の台詞です。
どうぞ、安心して物語を楽しんでください。



●【キムラ作品観劇時乃心得 2】
誰でもいいので、下級生にお気に入りをつくる

できればご贔屓さんと違うグループに入っている人が良いでしょう。木村作品の最大ってゆーか唯一の美点である“下級生の出番が多い”ところを、無駄遣いしてはいけません。

雪組さんを初めて観る方なら、開演前にプログラムを開き、1ページに5人以上写真が載っているページで最初に目に入った人を“今日のお気に入り”と決めてみましょう。
名前を確認し、どの場面に出るのかをあらかじめCHECK!幕があがったら、場面が変わるたびにその人を探します。見つけることができれば、もうあなたは雪組ファンへの道をまっしぐら♪♪




木村作品の最大の欠点は、作者の主張したいテーマのプロパガンダが強く出すぎて、おしつけがましい作品になりがちなことと、日本語のセンスがないこと。

木村作品の最大の美点は、下級生が“舞台上にいる”時間が異例に長いこと。(←そんな用語あるのか…?)


…私は、「木村信司作・演出」の作品群を、以上のように評価しております。
そして私にとっては、「木村作品」=『なるべくなら避けて通りたい作品群』でした。「暁のローマ」までは。


「暁のローマ」は、決して名作ではなく、褒めても“迷作”どまりでしたが。
原作が戯曲なのでオペラや小説ほどの自由度がない(切り口が決まってるから)ので、彼のクリエーターとしては声高すぎる主義主張もそんなに入れられないし、意外にいいなー、と思ったんですよね。

その次の「黒蜥蜴」は、原作が小説だったせいか、木村さんの物語世界を無視した勝手な切り口で別物に切られてしまいましたが…
でも、彼が「演出」に徹すれば意外とまともな仕事をすることは「アーネスト・イン・ラブ」「不滅の棘」の2作で証明(?)ずみでしたし、「初の完全オリジナル」だという今回の作品がどうなるか、というのは、興味津々だったわけですが………。



吉、
と出たのかな、と思いました。私は。


複雑な、深みのあるストーリーを作りきるほどの想像力も構成力も無いのは予想していましたが、ここまで素直に『ありふれたハッピーミュージカル』を出してくるとは思わなかった。

でも。
宝塚作品において、一番大切なことは、キャスティングの妙と、演出のテンポのよさ
この二つが揃えば、ストーリーなんてどうでもいいんでしょうねぇ、きっと……(一抹の寂)



それと。
次に彼の「長所」である、下級生の出番の多さ、については。

私が「暁のローマ」に通えた理由は、これが一番大きかったんですよね。
たとえ大道具がわりだとしても、舞台上に居るのと居ないのとでは全然違うと思うんですよ。0は何倍しても0ですから。

メインキャストが芝居をしているのを、同じイタの上で同じ空気を呼吸しているのと、袖で観ているのとは経験値としてまったく違います。特に、彼の作品はコーラスも多いし、割台詞も多いですから、ね。
だから、木村作品をやった組は、次の作品で下級生の成長っぷりを楽しみにしていていいと思うんです♪「パリの空よりも高く」の新公でそう思いました。(残念ながら、本公演はまったく出番皆無でしたが)



で。


このあたりをみるにつけ、木村さんは書けない日本語を書こうとがんばるのはすっぱり諦めて、プロデュース業に専念しないかなー、とか思うんですよね…。
彼のイメージするキャスティングとストーリーに沿って、マトモな日本語で脚本を書いてくれるライターと組んでくれないかなあ(^ ^)。




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えーっと。
木村さん論を書いているときりがないので、内容にもちょこっとふれるべき?
本当に素直なハッピーミュージカルで、ストーリーはたいした話ではないのですが……

うーん。
幕があがると、色とりどりの荷車のセット。これは、「サーカス小屋がやってきた!」というイメージなのだそうですが、ゾウさんやいろんな動物の形をしていてかなり可愛い。
しかも、このサーカス小屋は、作品を通じてパリの町並みになったり部屋の調度になったり、目隠しっぽく使われていて、使い方がうまいなーと感心しました。

ちなみにらぎ(柊巴)ちゃんは、下手の端でお辞儀をしているロングヘアの大柄な人。一瞬で引っ込んでしまうのに、よく見つけた>自分、と自分を褒めてあげました(^ ^)。
ひろみ(彩那音)ちゃんは逆に一番上手側にいるので、一番長く観ていられます。ニコニコ笑顔がなんだか懐かしいです。

荷車が下手にハケると、ジョルジュの父上のお葬式で物語が始まる……

…この調子で書いていったら絶対に終わらないので、とりあえず、お気に入りの場面を二つ。

一つ目は、テル(凰稀かなめ)が「僕は何一つ決断できない…」と自分の優柔不断さを嘆く場面。
「悩んでばかりでいやになっちゃう」みたいな歌詞を受けて、上手から「じゃーーん!」という感じに飛び出してくる、キムちゃんフィラント。
登場するなり「悩むことなんて何一つ無いさ〜〜♪」って、アンタ親友(アルセスト)が悩んでるのきいてた!?って感じ。
あのKYっぷりがツボした(^ ^)。可愛いぞ〜!


もうひとつは、一樹さんといづるん(天勢いづる)の、夫婦愛の歌。
例によって歌詞は意味不明というか、日本語じゃない感じですが、お二人が「お似合いの連れ合い」に見えたところが素晴らしいなあ、と。
この素敵なお二人に育てられた(大月)さゆちゃんセリメーヌが、多少ぶっ飛んだ娘に育っても当たり前だよね、って。

ちなみに、オフ・ブロードウェイ・ミュージカル「I Love You 〜愛の果ては?」に、中年男が「結婚して40年がすぎても、君への愛が少しも減らないのはなぜ?」と、朝食のテーブルで一緒に食べる妻を見ながらモノローグで歌う場面があるのですけれども。
(ちなみに日本公演でのこの妻の役をしたのは絵麻緒ゆうさん)

そういう、「夫婦生活が長くなっても“空気”にはならない」人間関係って、羨ましいなあ〜、と思いました…。



となみちゃんのマルキーズはカンペキな天使で、
水くんのジョルジュが可愛くてけなげな乙メンで。
二人を暖かく見守る、ハマコさんのレオン神父が素晴らしくて。

ひろみちゃんのシャルルが大人でかっこよくて、
シナ(山科愛)ちゃんのリシャールが完璧な少女で、

キタロウ(緒月遠麻)のクレアント&かおりちゃん(晴華みどり)のアンジェラは、超お似合い!
クレアントはジョルジュの弟で貴族だけど、身分を捨てて芸術の道を選び、モデルだったアンジェラと結婚。まぁ、かーなーりーご都合主義的な人物像でしたが、キタロウのとぼけた味わいとかおりちゃんのしっかり加減がすごくぴったりで、いいキャスティングだったと思います。
…でもでも、木村さん!かおりちゃんは妊婦なんだから、ラストの総踊りでガンガン踊るのはどうかと思うなー。

リサリサ(涼花リサ)は、芸術家チーム。髪型とかちょっと垢抜けない感じだったのはわざとでしょうか?キャラクターは強気で可愛い♪

パリの踊り子チームのおねえさま方の迫力はオ・ミ・ゴ・ト♪お気に入りの花帆杏奈ちゃんは、相変わらずの見事なプロポーションで嬉しかったです。やっぱ可愛いなあ〜。



あとはもう、「暁のローマ」に通った月組ファンなら思わず“観なかったことにしたい…”と思うであろう、愛人ズの場面(驚)!
ジョルジュを囲んで、ラインダンスを始める“女”たち……

にわにわ(奏乃はると)の脚線美は、文句なく素晴らしかったです
最初、仮面を被って出てきたとき、誰だろう?と思っていたら。仮面をはずした瞬間に「にわにわキターーーーっ!!」って感じで(汗)目が離せませんでした。
迫力ありすぎですからっ!!センターのにわにわと、その上手隣の(真波)そらちゃんと、もう、「そこの二人っ!!」って感じだったもん(^ ^;
次に観るときは、ほかのメンバーもチェックしなきゃ(汗)。



らぎちゃんは、サーカス団の中ではお兄さん格、って感じ?マルキーズのためにメンバーがジョルジュを試す場面で、引っ込みかけて「マルキーズは最近君のことしか言わないんだ」ってちょっと微笑みながら教えてあげる場面が、とっても格好よくて大好きです。
ちなみに、そう言われて「え?」という顔をしているジョルジュは、たまらないほど可愛いです。水くんって「かっこいい人」だとずっと思っていたのですが、今回は水くんの可愛らしさに転びっぱなし、かも(^ ^)。

それにしても、らぎちゃんに谷やん(谷みずせ)、そらちゃん、せしる、ひろみちゃん…、雪組さんの誇る美形軍団(また全員サーカス団なところが笑)が集まってはお互いにスキンシップしあっているので、なんだか目のやり場に困っちゃいました(^ ^;ゞ。






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ショー「ミロワール」

このショーを見ながら、ついつい“お気に入り”と“贔屓”の違い、について考えてしまった……のは、個人的な話なのでおいといて。

よくできたショーだったと思います。まぁ、衣装はちょっとイマイチでしたけれども。「レ・ビジュー・ブリアン」の衣装になんとも思わなかった私が思ったのですから、かなりローレベルなんじゃないかと思うのですが。


ユミコさんとキムちゃんが合わせ鏡で踊る場面とか、
ヤンさん(安寿ミラ)振り付けの「メドゥーサ」の場面はすごーくカッコよかったですが。

個人的には、オーソドックスに中詰と黒燕尾大階段が好き…かな。ありふれた場面ですけど、音楽の流れが好きなので。贔屓も出てるし


アクアの場面は、ごくごく違和感なくショーの中に入っていて良かったと思います。もっと浮いちゃうかと思ったのですが。
まだちょっと振りがこなれていないというか、硬い感じがしてしまいましたが、東宝に来るころにはきっと素敵になっているだろうなあ♪
ここのひろみちゃんは色っぽくてやばいです。…くらっ…。


あとは、なんといっても白雪姫(ひろみちゃん)とシンデレラ(テル)のバトル場面が最高!!(笑)。中詰めへのつながりと、「この世で一番うつくしいひと」の最後の答えがうまくリンクしていて、ショーの中でも私的に最上のヒットでした。はい。

それにしても。
ひろみちゃん凶悪に可愛かったなー……。雪組に行って大人になった、と感心していたのに、大人になったうえに凶悪に可愛いって……危険人物だなあ(涙)。

テルは普通にキレイなお姉さんでした。首が長くてスタイルがいいからドレス映えしますねー。(ひろみちゃんもドレス映えでは負けてませんが、小柄だからなあ)


…せっかくなので、思いついたこともついでに書いておこうっと☆

バウ・ワークショップ公演「凍てついた明日」なのですが。
前半後半の役代わりで、ぜひテルにボニーとクライド、両方演じてほしいです。

前半クライド篇、後半ボニー篇、ってことで、荻田さん、どうぞよろしくm(_ _)m。



…と、落ちがついたところで、終わりたいと思います。
また東宝で観たら書きますね〜♪


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コメント

nophoto
ラッキー
2008年1月18日23:26

待ってました〜!!雪組情報。
らぎちゃん大好き人間としては、本当にうれしい便りです。仕事の都合で、いまだ観劇できない私は、食い入るように読ませていただきました。
みつきねこさんのご報告によれば、きっとお正月公演にふさわしい明るい舞台なのでしょうか。これぞ、らぎちゃんの出番ですね。楽日までまだ間がありますので、何とか出かけたい!と、強く思います。

みつきねこ
みつきねこ
2008年1月19日0:02

ラッキーさま
読んでくださってありがとうございます〜!!今年もよろしくお願いいたしますm(_ _)m。
賛否両論あるとは思いますが、私は楽しかったですよ、今回のお芝居♪♪らぎちゃんのファン的には、ショーの方は出番が少なくてすこーし寂しかったですけれども(T T)、中詰めと黒燕尾はとにかくかっこいい!です(*^ ^*)。

お芝居のレザンは、「力持ち」というキャラクターなので見た目からすごく工夫されていて、いつもとは別人みたいでした。
グループ芝居で台詞とかはそんなに無いですけれども、ちょっとした仕草も「力持ち」らしく工夫されてがんばってましたよ!
ご覧になるときは、幕開きの下手端にご注目くださいね♪

nophoto
ラッキー
2008年2月3日20:15

いってきました〜!!!!!
何とか時間を見つけて、千秋楽ギリギリでしたが、らぎちゃんに会ってきました。確かに出番が台詞が少ないかなあ・・・と感じましたが、でもでも、舞台にいるときは相変わらずの笑顔の輝きとどんな場面も一生懸命ならぎちゃんがいましたよ〜。
お芝居は、みつきねこさんのアドバイスをしっかりと頭に入れながら、とにかく楽しんできました。らぎちゃんの力持ちらしいちょっとふっくらな姿とゆっくりした足取りに、凝り性のらぎちゃんらしさが出ていて、微笑ましかったなあ。ショーは、私は中詰めが好きでした。顔が小さくて手足が長い。やっぱりかっこいいですよね。らぎちゃんの銀橋での位置が下手側で、私の席が上手側だったので、ちょっと残念(笑)でしたが、とにかく楽しむことができました。
観劇後、らぎちゃんの舞台ポートレート(昔流にいえば、ブロマイド?でしょうか・・・古い!苦笑)を購入しようと手に取ったとき、同時に手を伸ばした見ず知らずの方がいました。その方が、私に、「なんとおっしゃる方ですか?」とお尋ねになったのです。雪組をあんまりご覧になっていないのか、らぎちゃんに今まで気づかなかったのか、とにかく、そうおっしゃったのです。すかさず「柊巴さんです!」と私。「すごく綺麗で、舞台でとっても目立っていて気になったので、どなたかなあと思って・・・・」とおっしゃいました。こうやって、ファンの方が少しずつ少しずつ増えてくださるのはうれしいことです。確かに綺麗ですよね〜、らぎちゃん。なんだかうれしくて、長々と書き込みました。ごめんなさい。

みつきねこ
みつきねこ
2008年2月5日22:39

ラッキーさま★
コメントありがとうございます〜〜!!すごーく嬉しかったのに、すぐにレスでき
なくて本当に申し訳ありませんm(_ _)m。
やっとご覧になったのですね(^ ^)。よかったです。今回短期公演でもう終わって
しまうし、どうなさったのかなー、と思っていました♪観ていただけてなによりです
♪らぎちゃんも喜んでくださったのでは?(^ ^)
お芝居は、出番は決して少なくないので観ているだけで幸せなんですけど
ね。ショーはもう少し…(T T)と思ってしまいますよね、やはり。でもご本人が幸
せそうに舞台で笑ってくださるので、私もとても幸せでした。
>らぎちゃんの力持ちらしいちょっとふっくらな姿とゆっくりした足取り
そうそう、ホント凝り性ですよね!大好き。肩幅があるので布団巻いてもスタイル
が良く見えるのはさすがでしたね。ショーは下手が多かったですよね!東宝の下手席
を探しています(←結構真剣)。
ブロマイド(?)のエピソード、素敵ですね!私みたいな人はどこにでもいるんで
しょうねぇ…。ラッキーさまの愛も伝わって、その方がまたらぎちゃんを観に来てく
ださると嬉しいですね♪
雪組さんも大劇場公演が終わって、もうすぐ東宝なんですよね。楽しみ〜♪♪