月組バウホール公演「ホフマン物語」を観てまいりました。
キャストはいわゆる「Bパターン」。
以前観たオペラ版のキャスティングについてはこちら。
http://diarynote.jp/d/80646/20071118.html
念のため、キャストを書いておきますね♪
全幕
ホフマン 明日海りお
ニクラウス 宇月颯
1幕1場
悪魔 青樹泉
ミューズ 美鳳あや
影法師S 流輝一斗、麗百愛
1幕2場 ルーテル酒場
リンドルフ 青樹泉
アンドレス 星条海斗
ルーテル 未沙のえる
エリオット 五十鈴ひかり
テオドール 流輝一斗
ヘルマン 煌月爽矢
ナターナエル 輝城みつる
ウィルヘルム 千海華蘭
グレッチェン 玲実くれあ
ファウスタ 花陽みら
レオノーレ 真愛涼歌
1幕3場 アントーニア
アントニア 青葉みちる
ミラクル博士 青樹泉
クレスペル 未沙のえる
フランツ 星条海斗
アントニアの母親 萌花ゆりあ
2幕4場 オランピア
オランピア 美鳳あや
コッペリウス 青樹泉
スパランツァーニ 未沙のえる
コシュニーユ 星条海斗
2幕5場
ジュリエッタ 夢咲ねね
ダッペルトゥット 青樹泉
ピティキナッチョ 未沙のえる
シュレーミル 星条 海斗
2幕6場 ルーテル酒場
ステッラ 羽咲まな
(他は1部と同様)
以上です。
とにかく音楽が素晴らしかった!
そして、
可愛い下級生たちが、とにかくもう必死!って感じで舞台の空間を埋めようとしていて、そのがんばりっぷりに真面目に涙が出ましたね。
「本公演」ではない、「ワークショップ」だからこそ許される、豊かで実りある、贅沢な時間でした。
細かいことを言いだしたら、本当にキリがないです。
そもそも主役のみりおくんが完全に喉を痛めていて、前奏が鳴り出すたびに観ているこっちまで緊張して手に汗を握ってしまうような状況でしたし、
1幕ルーテル酒場で話の進行役を勤める下級生がまるっきり棒読みだったり。
初日近くは上級生もずいぶんカミカミだったと聞きました。
それをもって、「4500円の価値はない」と断じるのは、とても簡単なことです。
でも、この公演はワークショップだから。
最初から「不可能」な課題を与えて、「どうすればこの障害を乗り越える道をみいだせるか」を学ばせる場であって、障害を乗り越えて目的地にたどり着くのは、次の公演、あるいはさらにその次の公演でもかまわない、と思うから。
そういう意味では、オペラの音楽を大半そのまま使ったこの作品は、音楽的にも芝居の上でも高いハードルを科してくれて、この上もなく素晴らしい勉強になったはず。
正統派の“男役”が主人公で、
いろんなタイプのヒロインと組んでがっつり芝居ができる作品。
切ないラブロマンス、
コメディ、そして、
幻想的な物語。
宝塚で求められる「お芝居」を、この一本で勉強できる。
それが、この作品が「ワークショップ向き」だ、と思うポイント。
思ったより役が少なくて(主要な役はほとんど、役替わりで少数の役者が演じてしまうので)、下級生はあまり出番がなかったのは若干残念でしたけれども。
でも、たぶん代役がついたりしているんだろうし、一本の作品であれだけバラエティに富んだ音楽と芝居を勉強できる機会って滅多にないので、いい経験にはなったはず。
全組これでも良かったんじゃないか、と思ってしまうほど、「ワークショップ」向きのいい作品でしたし、いい公演でした!
組ファンでない方、月組下級生に全然興味の無い方だと、ちょっと辛かったかもしれませんが。
ちょっとでもお気に入りの人が出ていたら、ぜったい涙が出てくると思いますよ!…ご贔屓さんのがんばりっぷりに。
それもこれも、作品自体が名作だから、なんですけどね。
ホフマン役のみりおくんは、ほんとーに美貌で華やかだ…。
歌は、今まで新公などで観てきて「かなり歌える人」という印象だったのですが、今回は…台詞声は良かったのですが、歌は本当にギリギリで(T T)。歌いだす前にも、ご本人が緊張して肩に力が入るので余計に出なくなっちゃうんでしょうね…。観ている方が疲れましたわ(涙)。
普段は物凄く芝居勘のある人なんですが、今回はちょっと苦戦したかな。声が出ない焦りもあったのかもしれないし、根本的に、“見た目が若すぎる”というのは、こういう役では不利なのかもしれません。
それと、彼女の芸風はとっても「リアル」な男の子、なんですね。浮世離れした美貌の割りには。
実際、今までヒットを飛ばしてきた「The Last Party」の学生、「パリの空よりも高く」のジャン、新公のアントニウス(「暁のローマ」)やボルディジャール(「「マジシャンの憂鬱」)……どれもこれも、非常にリアルで存在感のある、現実を見据えた有能な男、だったんですよね。
あんまり幻想的な役とかファンタジックな役は記憶にない。
あ、「エリザベート」の少年ルドルフがあったか。でも、みりおくんのルドルフは、大人になったら『祐飛さんでなくまさお(龍真咲)になる』ところが納得できる芝居だなーと思ったんだ…。
…だいぶ話が逸れてしまいましたが。
みりおくんのホフマンは、挿入話として語られる3つの物語のホフマンとしては違和感ありませんでした。
ハンサムで、魅力的で、自信家で、恋を語るにふさわしい、男。
でも。
最初と最後のルーテル酒場でのホフマンは、完全には掴みきれないままに千秋楽を迎えてしまった……そんな気がした、というのが観劇しての正直な感想でした。
ルーテル酒場でのホフマンは、「詩人」です。
「男」である前に、「詩人」。
現実処理能力を持たず、
それどころか「現実」を見ることさえできず、
夢の世界に生きている、男。
なのに彼は、天使でさえ、ない。
せめて天使であったなら、居場所を求め、愛するひとを求めて彷徨うこともなかったろうに。
でも彼は、天使じゃないからこそ、詩人たりうる。
天使じゃないから、ミューズの愛を勝ち得ることができたのだから…。
そんな。
「地に足のつかない」男を演じるには、今のみりおくんは、あまりに「リアル」でありすぎたと思います。
ただ、普通は、あの学年で「リアル」な男役になることの方が難しいと思うから。
今できないからって、永久に出来ないってもんじゃない。
みりおくん自身が、今回演じた「ホフマン」が完成形だ、と思わないでいてくれれば、それで十分だと思います。
伸びしろはまだまだいくらでもある人だと思うから。
「みりおくん」が、リアルもファンタジーも演じられる“男役”として完成される日を、楽しみに待っています。
そんでもって。
…二クラウス、観たいなあ……(うっとり)
悪魔/その他3役のもりえちゃん。
すっごく良かったです!
今までのもりえちゃんの中で、一番良かったかも!あ、いや、一番良かったのは、やっぱり「オクラホマ!」かな?(可愛かった♪)
でも、今回もすごく良かったです。あんまり期待してはいなかったので(ごめんなさい)、嬉しい驚きでした。
みりおくんはじめ、下級生が皆あっぷあっぷしている中で、さすがに大役馴れしているというか、落ち着いて演じていて、カンパニーの中でも重要なポジションにいるんだろうな、と思いました。
楽の挨拶でへろへろしている同期のみっぽーや下級生のみりおくんを、にこにこしながらちょっと心配そうに見守っている視線が萌えでした(^ ^)。
今回の芝居について、あえて苦言を呈するならば。
オランピアの場面でのコッペリウスの化粧は、あれでいいのでしょうか…?
全編通して悪魔メイクというか、目元の濃いアイシャドーと白い肌色のトートメイクのままだったのですが、このコッペリウスって、役的にはオランピアを作った発明家(物理学者?)スパランツァーニの弟子みたいな存在なんですよね。で、自分のアイディアをスパランツァーニ「先生」に取られて、その代金を請求するために現れる。
もりえちゃんの役づくり(台詞の言い方とか表情とか)は、普通に青年っぽい感じだったのですが…、メークがトートメークのままなので、なんだか笑って良いのか悪いのか…って感じになってしまったんですよね(^ ^;。
まぁ、オペラと違って連続で次の場が始まってしまうので、化粧替えをするのは不可能だったんでしょうけれども。
それならそれで、もう少し、演出家として役作りの指導をしたりするのも必要なのでは…?>谷さん。
演出的には、谷さんの演出は手堅いし、セットや衣装(使いまわしばかりでしたが)もよく考えられていて悪くはなかったのですが…。
場面転換だけは、もう少しどうにかしてほしかったなー。
各場が切れるときに、暗転してから平幕が降りてくるまでがすでに間抜けなほど間があいてしまうんです。あれをカーテン式にして「さーっ!」と閉める形式にするだけで、ずいぶん格好がつくと思うのですが。
この作品は、元がオペラなだけに場面も多く、しかも場が変わるごとにセット転換があるので、そこをどうつなぐかがこの作品を「ミュージカル」として上演する際の課題だと思うのですが。
菅沼氏は、そこはどうやって解決されたのでしょうねぇ。30年前は、今と違って2分や3分幕がおりっぱになっても何とも思わなかったのかな?(汗)
「心中・恋の大和路」では、場面転換が気になったことなかったのですが…。
ふぅ。
とりあえず、お二人書いたところで、いったんきりますね。
おやすみなさいませ…Zzz
.
キャストはいわゆる「Bパターン」。
以前観たオペラ版のキャスティングについてはこちら。
http://diarynote.jp/d/80646/20071118.html
念のため、キャストを書いておきますね♪
全幕
ホフマン 明日海りお
ニクラウス 宇月颯
1幕1場
悪魔 青樹泉
ミューズ 美鳳あや
影法師S 流輝一斗、麗百愛
1幕2場 ルーテル酒場
リンドルフ 青樹泉
アンドレス 星条海斗
ルーテル 未沙のえる
エリオット 五十鈴ひかり
テオドール 流輝一斗
ヘルマン 煌月爽矢
ナターナエル 輝城みつる
ウィルヘルム 千海華蘭
グレッチェン 玲実くれあ
ファウスタ 花陽みら
レオノーレ 真愛涼歌
1幕3場 アントーニア
アントニア 青葉みちる
ミラクル博士 青樹泉
クレスペル 未沙のえる
フランツ 星条海斗
アントニアの母親 萌花ゆりあ
2幕4場 オランピア
オランピア 美鳳あや
コッペリウス 青樹泉
スパランツァーニ 未沙のえる
コシュニーユ 星条海斗
2幕5場
ジュリエッタ 夢咲ねね
ダッペルトゥット 青樹泉
ピティキナッチョ 未沙のえる
シュレーミル 星条 海斗
2幕6場 ルーテル酒場
ステッラ 羽咲まな
(他は1部と同様)
以上です。
とにかく音楽が素晴らしかった!
そして、
可愛い下級生たちが、とにかくもう必死!って感じで舞台の空間を埋めようとしていて、そのがんばりっぷりに真面目に涙が出ましたね。
「本公演」ではない、「ワークショップ」だからこそ許される、豊かで実りある、贅沢な時間でした。
細かいことを言いだしたら、本当にキリがないです。
そもそも主役のみりおくんが完全に喉を痛めていて、前奏が鳴り出すたびに観ているこっちまで緊張して手に汗を握ってしまうような状況でしたし、
1幕ルーテル酒場で話の進行役を勤める下級生がまるっきり棒読みだったり。
初日近くは上級生もずいぶんカミカミだったと聞きました。
それをもって、「4500円の価値はない」と断じるのは、とても簡単なことです。
でも、この公演はワークショップだから。
最初から「不可能」な課題を与えて、「どうすればこの障害を乗り越える道をみいだせるか」を学ばせる場であって、障害を乗り越えて目的地にたどり着くのは、次の公演、あるいはさらにその次の公演でもかまわない、と思うから。
そういう意味では、オペラの音楽を大半そのまま使ったこの作品は、音楽的にも芝居の上でも高いハードルを科してくれて、この上もなく素晴らしい勉強になったはず。
正統派の“男役”が主人公で、
いろんなタイプのヒロインと組んでがっつり芝居ができる作品。
切ないラブロマンス、
コメディ、そして、
幻想的な物語。
宝塚で求められる「お芝居」を、この一本で勉強できる。
それが、この作品が「ワークショップ向き」だ、と思うポイント。
思ったより役が少なくて(主要な役はほとんど、役替わりで少数の役者が演じてしまうので)、下級生はあまり出番がなかったのは若干残念でしたけれども。
でも、たぶん代役がついたりしているんだろうし、一本の作品であれだけバラエティに富んだ音楽と芝居を勉強できる機会って滅多にないので、いい経験にはなったはず。
全組これでも良かったんじゃないか、と思ってしまうほど、「ワークショップ」向きのいい作品でしたし、いい公演でした!
組ファンでない方、月組下級生に全然興味の無い方だと、ちょっと辛かったかもしれませんが。
ちょっとでもお気に入りの人が出ていたら、ぜったい涙が出てくると思いますよ!…ご贔屓さんのがんばりっぷりに。
それもこれも、作品自体が名作だから、なんですけどね。
ホフマン役のみりおくんは、ほんとーに美貌で華やかだ…。
歌は、今まで新公などで観てきて「かなり歌える人」という印象だったのですが、今回は…台詞声は良かったのですが、歌は本当にギリギリで(T T)。歌いだす前にも、ご本人が緊張して肩に力が入るので余計に出なくなっちゃうんでしょうね…。観ている方が疲れましたわ(涙)。
普段は物凄く芝居勘のある人なんですが、今回はちょっと苦戦したかな。声が出ない焦りもあったのかもしれないし、根本的に、“見た目が若すぎる”というのは、こういう役では不利なのかもしれません。
それと、彼女の芸風はとっても「リアル」な男の子、なんですね。浮世離れした美貌の割りには。
実際、今までヒットを飛ばしてきた「The Last Party」の学生、「パリの空よりも高く」のジャン、新公のアントニウス(「暁のローマ」)やボルディジャール(「「マジシャンの憂鬱」)……どれもこれも、非常にリアルで存在感のある、現実を見据えた有能な男、だったんですよね。
あんまり幻想的な役とかファンタジックな役は記憶にない。
あ、「エリザベート」の少年ルドルフがあったか。でも、みりおくんのルドルフは、大人になったら『祐飛さんでなくまさお(龍真咲)になる』ところが納得できる芝居だなーと思ったんだ…。
…だいぶ話が逸れてしまいましたが。
みりおくんのホフマンは、挿入話として語られる3つの物語のホフマンとしては違和感ありませんでした。
ハンサムで、魅力的で、自信家で、恋を語るにふさわしい、男。
でも。
最初と最後のルーテル酒場でのホフマンは、完全には掴みきれないままに千秋楽を迎えてしまった……そんな気がした、というのが観劇しての正直な感想でした。
ルーテル酒場でのホフマンは、「詩人」です。
「男」である前に、「詩人」。
現実処理能力を持たず、
それどころか「現実」を見ることさえできず、
夢の世界に生きている、男。
なのに彼は、天使でさえ、ない。
せめて天使であったなら、居場所を求め、愛するひとを求めて彷徨うこともなかったろうに。
でも彼は、天使じゃないからこそ、詩人たりうる。
天使じゃないから、ミューズの愛を勝ち得ることができたのだから…。
そんな。
「地に足のつかない」男を演じるには、今のみりおくんは、あまりに「リアル」でありすぎたと思います。
ただ、普通は、あの学年で「リアル」な男役になることの方が難しいと思うから。
今できないからって、永久に出来ないってもんじゃない。
みりおくん自身が、今回演じた「ホフマン」が完成形だ、と思わないでいてくれれば、それで十分だと思います。
伸びしろはまだまだいくらでもある人だと思うから。
「みりおくん」が、リアルもファンタジーも演じられる“男役”として完成される日を、楽しみに待っています。
そんでもって。
…二クラウス、観たいなあ……(うっとり)
悪魔/その他3役のもりえちゃん。
すっごく良かったです!
今までのもりえちゃんの中で、一番良かったかも!あ、いや、一番良かったのは、やっぱり「オクラホマ!」かな?(可愛かった♪)
でも、今回もすごく良かったです。あんまり期待してはいなかったので(ごめんなさい)、嬉しい驚きでした。
みりおくんはじめ、下級生が皆あっぷあっぷしている中で、さすがに大役馴れしているというか、落ち着いて演じていて、カンパニーの中でも重要なポジションにいるんだろうな、と思いました。
楽の挨拶でへろへろしている同期のみっぽーや下級生のみりおくんを、にこにこしながらちょっと心配そうに見守っている視線が萌えでした(^ ^)。
今回の芝居について、あえて苦言を呈するならば。
オランピアの場面でのコッペリウスの化粧は、あれでいいのでしょうか…?
全編通して悪魔メイクというか、目元の濃いアイシャドーと白い肌色のトートメイクのままだったのですが、このコッペリウスって、役的にはオランピアを作った発明家(物理学者?)スパランツァーニの弟子みたいな存在なんですよね。で、自分のアイディアをスパランツァーニ「先生」に取られて、その代金を請求するために現れる。
もりえちゃんの役づくり(台詞の言い方とか表情とか)は、普通に青年っぽい感じだったのですが…、メークがトートメークのままなので、なんだか笑って良いのか悪いのか…って感じになってしまったんですよね(^ ^;。
まぁ、オペラと違って連続で次の場が始まってしまうので、化粧替えをするのは不可能だったんでしょうけれども。
それならそれで、もう少し、演出家として役作りの指導をしたりするのも必要なのでは…?>谷さん。
演出的には、谷さんの演出は手堅いし、セットや衣装(使いまわしばかりでしたが)もよく考えられていて悪くはなかったのですが…。
場面転換だけは、もう少しどうにかしてほしかったなー。
各場が切れるときに、暗転してから平幕が降りてくるまでがすでに間抜けなほど間があいてしまうんです。あれをカーテン式にして「さーっ!」と閉める形式にするだけで、ずいぶん格好がつくと思うのですが。
この作品は、元がオペラなだけに場面も多く、しかも場が変わるごとにセット転換があるので、そこをどうつなぐかがこの作品を「ミュージカル」として上演する際の課題だと思うのですが。
菅沼氏は、そこはどうやって解決されたのでしょうねぇ。30年前は、今と違って2分や3分幕がおりっぱになっても何とも思わなかったのかな?(汗)
「心中・恋の大和路」では、場面転換が気になったことなかったのですが…。
ふぅ。
とりあえず、お二人書いたところで、いったんきりますね。
おやすみなさいませ…Zzz
.
コメント