銀座博品館劇場「マウストラップ」を観てまいりました。

先にキャストを書いておきます。(登場順)
モリー       芳本美代子
ジャイルズ     内海光司
クリストファ    野沢聡
ボイル夫人     淡路恵子
メトカーフ少佐   桐山浩一
ミス・ケースウェル 山崎美貴
パラビチーニ氏   田村連
トロッター刑事   戸井勝海

演出  大和田伸也

…と、書き始めたのが30分前。
ほぼ書き上げて、アップする前に読み直している途中で、

パソコンが落ちました。



泣。




気を取り直して書きたいと思いますが。
……さっきは作品の歴史からストーリー、今回の公演ツアーの状況までかなり詳細に書いたのですが。疲れたので省略させていただきます。
ま、どっちみちカーテンコールで「この結末はどなたにもお話にならないでください」と言われてしまうんだしねー。


で。
言わずとしれた、アガサ・クリスティの名作戯曲ですが。
演出・音楽共に端正で完成度高く、大変面白い作品だと思います。演出は違いますが、やはりロンドンで55年以上もロングランされるだけのことはあるなあ、と。
私はこのカンパニー(というか、大和田演出)の初演から観ていますが(今回が三演目)、キャストも少しづつ変わって、それぞれに印象の違う公演になっていると思います。



山荘の管理人の妻・モリーの芳本美代子。
めちゃくちゃ可愛い!年齢不詳の可愛らしさが役にぴったりで、この役でしか観たことはないのですが、本当に大好きです♪
トークショーで一度だけ「モリー」でない「芳本美代子」を観たことがありますが、まんまモリーでした(笑)。素でやってたんかいっ!!でも、あれで実生活ではお子さんがいらっしゃる…んですよね?すげー……想像できませんっ(汗)。



山荘の管理人・ジャイルズの内海光司。
初演からずっと出ている3人のうちの一人。光GENJI時代はあまりよく知らないのですが、いい声の役者ですよね。トークではあまりの天然ボケ(←しかも、他の人が突っ込みようがないようなところでボケてくれる困りもの)っぷりに呆然としてしまいましたが(笑)、あの天然さが良い意味で出ていると思います。
前回までに比べて、途中で「あいつ(さて誰でしょう?)が犯人に決まってるじゃないか!」と言い出すあたりが強さを増して、二面性が出てきたところが劇の面白さを深めていて、すごくかっこいいです♪♪



山荘の客、やかましくて落ち着きのない青年クリストファ・レンの野沢聡。
エリザベートでデビューして以来、人気上昇中の野沢くんは、今回が初参加。この人もマジで可愛い!んです、…が、ちょっとこの役には背が高すぎる…(涙)。

戯曲のキモとして、「登場人物全員が怪しい」というのがあるんですが、それには「身長」が全員同じくらいである、という前提があるんですよね。
今回は、野沢くんが一人だけ大きいので、初見の方は「彼が犯人なのだとしたら何か大きなトリックがないとおかしいよね」、とか、つい考えすぎてしまうんじゃないかと思うんですよね(←お前の方が考えすぎだ)。

初演・再演とこの役をやっていた岩田翼さんは、他のメンバーとそんなに変わらない(多分)背丈なのに、わざと猫背に丸めて小柄に見せる業を使っていて、いろんな意味で怪しくてすごく良かったのですが…野沢くんの場合、縮むにも限界があるから(涙)。

あと、野沢くん、あまりにも無邪気に可愛らしすぎるの(^ ^;。本当に子供みたいで、すっごく可愛かった!!んですけど、もうちょっと、二面性というか、裏があるようにやると面白い役になるんだけどなぁ…って感じでした。
でも、あの天性の明るさというか、素直な華やかさは大きな武器だと思うので。美点を損なわないようにしつつ、すこーし裏をチラ見せできるようになってくれたら幸せかも♪



山荘の客、尊大で意地悪なボイル夫人の淡路恵子。
元SKDから映画スターへの道を歩んだ大女優。年を重ねても、素敵な人は本当に格好良い!
この作品は初演から参加されていて、ほぼ彼女の色で作品ができているといっても過言ではない、って感じ。今までは、イギリスの厳格な老婦人らしく髪をキレイに結い上げていらっしゃいましたが、今回はがらっと雰囲気を変えて銀髪のおかっぱボブ。衣装の雰囲気も微妙に違って、おしゃれだけど尊大で嫌味なおばあさま、という印象。
役にはこっちの方があっているかも、と思いました。

あと、途中でラジオから流れるタンゴに合わせて一人で踊る場面があるんですが、ここの振り付けが、以前は本当にちょこっとポーズをとるくらいだったのに、今回はクッションを相手役に見立ててしばらく踊るようになっていて。
過去の夢(栄光)を思い出させることで「誰からも相手にされない現在」の寂しさがさらに強調されて、物凄く痛い場面になっていました。
こういうシーンをさらっとやれてしまう淡路さんの底の深さ、懐の広さ。演出の大和田さんも安心だろうなあ、と思いました。



山荘の客、メトカーフ少佐の桐山浩一。
手堅い役者ですね。彼も今回初参加組ですが、自然に動いていて、空気のように違和感がない。見事な存在感でした。
翻訳劇は今回初めてとのことでしたが、良かったですー!これからもぜひぜひ、色々出演してください!



山荘の客、背の高い、男装の女ミス・ケースウェルの山崎美貴。
外国暮らしが長く、そこで舐められないよう男装で、態度も言葉遣いも男のような、長身の女、という設定で、初演は高汐巴さんがなさった役ですが…。
まずトレンチコート(登場時の衣装)が似合うことが凄く大事!なの。
「コートを脱ぐまで男だと思って」いて、コートを脱いだら「女なので驚く」という観客の「!」って大事だと思うんですね、この役は。とにかく全員が「犯人かも?」と思わせなくては戯曲が成立しないんですよね…。

山崎さん自身は包容力もあってすごく良い役者だと思いますが、このカンパニーでのこの役は、ちょっとキャラ違いだったかなーと思いました。それがとても残念です。
やはり「男装の女」となると、(宝塚でなくてもいいんでしょうけど)「男役」の経験って大きいんですよ。これは、全然宝塚ファンじゃない友人も同じことを言っていたので、私が宝塚ファンだからじゃないと思うんですけど。
まぁ、最初から山崎さんで観ていれば違和感なかったのかもしれませんが…



山荘の闖入者、パラビチーニ氏の田村連。
いやもう、はまり役。胡散臭くていやらしくて、この上もなく魅力的な男。本当にはまり役でした。コメントの必要なし。



トロッター刑事の戸井勝海。
一幕の終盤になって突然現れる人なので、その登場シーンが一番重要だと思うのですが、今回はかなり印象的に出られたんじゃないかと思います。初演メンバーの一人ですが、都度印象が変わる人なので、一概に「よくなってた」とか言いにくい(^ ^)。でも、役づくりがずいぶんかわったなーと思いました。
ご本人は「彼自身の今までの人生を追いかけて、役作りをやり直した」みたいなコメントをしていらっしゃいましたが、観ていて思ったのは、曲者らしさが増したなー、ってことかな(汗)。

刑事が一番かかわりを持つジャイルズとモリーが天然な夫婦なので、トロッターの曲者ぶりが好対照で面白かったです♪




…あああ、ネタバレできないのが苦しい………(涙)。

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コメント

nophoto
でるふぃ
2007年11月4日21:10

みつきねこさま、こんばんは!
また、やってまいりました。
アガサ・クリスティの有名な作品ですね、ご紹介ありがとうございます。
きっと、わくわく、ドキドキの楽しい時間を過ごされたことでしょう。
芳本さんは、私にとっては、元アイドルですが、今は舞台をなさってるんですね。
それから、大和田信也さんは、役者さんでしたが、今は演出家なのですか、
すみません。初歩的なことで新鮮に感じております。

前の話題をこちらに書いてしまいますが。すみません。
みつきねこさまの「祐飛さんパーソナルカレンダー」についての記事を、11月1日付の自分のブログの中にリンクさせて、ご紹介してしまいました。
お知らせしようと、トラックバックを何日か試みたのですが、どうしても実行できないのです。
このコメント内にURLを書き込むのも、いいのかどうか、わからなかったので。
ひとまず、ご挨拶だけは、と思いました。
「月のお花畑」というブログで、(月つながりということで、親しみを感じてます!)気ままに書き連ねているだけなのですが、もし、よろしければ、
夜野さまのRSSで見かけたら、ついでにでも、お訪ねくださると、うれしいです。

金子光晴の「湖水」、書店にはなかったですが、ネットで見つけました。
ほんとに、透明感があって、深く、自由に心を遊ばせることにできる、いい詩ですね〜、
教えてくださった、runyaさまにも、ありがとうございます!

みつきねこ
みつきねこ
2007年11月4日23:21

でるふぃさま
大和田さんは、役者ももちろん続けていらっしゃると思いますよ?ただ、いくつか舞台演出を手がけていらして、そちらでも成功されているという感じだと思います。

でるふぃ様のBlog、いつも拝見させていただいています!話題に出していただき、ありがとうございましたm(_ _)m。コメントさせていただきましたので、どうぞよろしくお願いいたします♪
トラックバック…なんだか不安定なサイトなので、もしかしたらそのせいかもしれません(涙)。こないだもしばらく落ちていたし…。ごめんなさい。
金子光晴氏の詩集、私も久々に盛り上がっていて、買ってしまおうかなーと思案中です(^ ^)。

nophoto
でるふぃ
2007年11月5日19:22

みつきねこさま
大和田さんの情報、ありがとうございます。成功されているのですね、よかった。
奥さまが好きな女優さんでした。

そして、すぐに私の場所にいらしてくださって、コメントもしていただき、光栄です。
ありがとうございます!!

金子光晴さん・・自分の本棚を調べましたら、古い文庫本ですが、伊藤信吉.著「現代史の鑑賞」という中に、何篇かの詩と評論が少し載ってました。
湖水と同時代なのか、わかりませんが、山中湖畔に疎開した時に作った「湖畔吟」というのが、ありました。
これは、痛烈な戦争批判を織り込んだ詩です。
こんな顔もお持ちだったんですね、金子光晴さん。彼は湖の中に、いろいろなものを見ています。
こういう話をすると、長くなりそうなので・・いつかまた、別の機会にでも、話し相手になってくださいね。
よろしく、お願いいたしますm(^^)m

みつきねこ
みつきねこ
2007年11月5日22:45

わざわざありがとうございます♪
金子氏は元々、ものすごいアングラな人生を歩んだ人だったはずで……。詩人としては反骨・反逆、実生活は「美しいもの」とは縁のないような滅茶苦茶さで、晩年は「フーテン老人」とまで言われた人です。
そのイメージとあの詩が結びつかなくて、作者として認識できていなかったのですが(笑)、詩人という存在の多重性、というのが面白いですね。ぜひまた語りにいらしてください♪