雪組全国ツアー公演「星影の人」の続き、です。

…昨日は、ついつい勢い余って「星影のらぎちゃん」というタイトルで書き出してみましたが、考えてみたららぎちゃんの話ってほんのちょっとなんですよね。
だって、舞台上にいないんだもん(涙)。

一時間半強のお芝居で、舞台の上にいるのはせいぜい…プロローグをいれても多分、10分くらい。
でも、「出番少ない」感を与えてしまったら失敗の役なんですよね、桂小五郎って。短い時間に強烈な印象を残さないといけない役。
…らぎちゃんの桂はどうなんでしょうか。私は既にファンなので、その辺りのバランスがサッパリわからないのですが……。
(凰稀)かなめちゃんの桂は、物凄い美貌でスタイル良くて、印象的でしたけど。でもでも、らぎちゃんも美形度とスタイルだけならそんなに大きく負けてはいないと思うんだけど(←贔屓目すぎる)、

…華がある、と評価される人のファンにはなったことがないし、今後なることもないであろう猫には、よく解らないんですよソレって………(涙)


ま、そんな戯れ言はおいといて、
建仁さんの境内の場面。

ひろみ(彩那音)ちゃんと(涼花)リサちゃんの逢い引き。
しっとりとお似合いの、花のようなお二人です♪
中日で観た時はちょっと、こそばゆさも感じたひろみちゃんですが。今回は本当に良かった!沖田が現れたときのびっくり顔が最高に可愛いです(笑←可愛くて良いのか?←可愛いからいいの)。

リサちゃんは更に可憐さに磨きがかかった気がします。本当に良い娘役さんだなあ……
私は「さすらいの果てに」の時から好きでしたけど、決定的に好きになったのは「堕天使の涙」新公のジュスティーヌ(五峰さん)だったんですよね。声に深みがあって笑顔がすごーく可愛くて、そして、薄倖感があるの(*~ ~*)。
見守るおしま(ゆり香紫保)の存在感も、出過ぎず引きすぎず、ちょうどよくて、彼女の運命(廓の外に出られない)を印象づけて。

山南さんの「彼女を知って、私は少し変わったような気がする…」という述懐に、真情がこもっていて…その後を知っているだけに、既にココで泣けてしまいます。

また、その述懐をニコニコと意味わからなげに聞いている“沖田くん”が、また最高に可愛らしい(笑)。

「君には解らないだろうな…」
「わかりますよ!」
「ほう、そうか、君にもわかるか(笑)」

という、朗らかなひろみちゃんの声、が、

違和感無く山南さんの言葉に思えて。

…たったそれだけのことで胸が熱くなる私は、多分相当なひろみファンなんでしょう…(汗)。


山南さんの後ろ姿を見送る沖田に、玉勇の声がかかる。

逢い引き。

元々大人っぽい男役だと思っていた水くんですが、声が若いので、仕草や姿勢に気をつければいくらでも若くなれるんですねー。初々しい、という形容詞がこんなに似合う研15(?)も珍しいってくらい初々しいです。ハイ。
未だ健康にはなーーーんの不安も抱いていない沖田。
剣の道に生きると決めてはいても、近藤や土方の夢が叶うまで、恋はしない、と決めてはいても、まだまだ未来を信じている、
そんな、

まだ修羅を知らない若者の、澄んだ輝き。

それが、

うらやましくて、いとおしくてならない仲間たち。
ぞろぞろ出てくる山崎たち新撰組の一行が、最高に楽しいです。
山崎ハマコさんも、永倉にわにわも、原田そらちゃんも、井上コマちゃんも、皆いいカンジだよーーーー、ホントに♪♪

互いに命を預けあった仲間たち。
戦場では対等でも、こういう場では人生経験がモノをいう…と言いたいところですが、この連中、大した人生経験をしていなさそうなところがまた、とてもステキです☆いやー、短い場面なんですけど、ホント楽しい場面ですよね。柴田さんも、新撰組の一人一人よくキャラクターを考えているよなあ…。



「新撰組のお座敷」での八千代獅子。
上手花道から染香姐さん(灯奈美)、下手花道から鈴扇を持ったとなみちゃん。
日舞の難しいことはよくわかりませんが(←何なら解るんだ)、染香姐さんの腰の動かなさは凄いなー、と。扇の鈴に合わせて首を回すところがすごく綺麗です。
本舞台に並んで背を向けると、染香姐さんが松緑、となみちゃんが赤。キレイに映えて、年輪を感じさせる。いい衣装♪
言葉はないけど、ふ、と客席に恋しい顔を見つけた玉勇がほほえんで「沖田はん…」と名を呟く。…恋、を印象づける、見事な場面ですよね。
柴田さんって、こういうところは本当に巧いと思う。

でも、…ちょっと観客を選ぶというか、高度なのかもなあ…(涙)。


舞が終わると、場面は主役を離れて、そのまま中庭へ。
今度は土方の逢い引き。

初日の日記にも書きましたが、ここのキム(音月桂)ちゃんの色気は凄い!
(花帆)杏奈ちゃんの「はんなり」さも凄いんですけど。「誰にでもそう言わはるんやろ」と言いながら、軽くはたくそぶりをする加代に、呆れたように息を吐いて、軽く笑いながら団扇をあおぐ、その………ダダ漏れな色気は、

…拾っとけ、な?


物陰からせーこ(純矢ちとせ)ちゃんが現れると、ふ、と目線をそらす杏奈ちゃん。きゅっと下唇を噛んで、そろりそろりと右手を挙げる。と、

手のうちに、抜き身の懐剣。

…ま、刺す気はないんだよね、この時点で。
土方に止めてほしい、と思っている、切ない女心。

せーこちゃんは本気で殺すつもりだけれども(←技量的に無理)、
杏奈ちゃんには、殺せない。

許嫁の仇であっても。
許嫁を喪ったために、武士の娘でありながらこんなところ(祇園)まで流れてくるはめになったのだろうけれども。

でも、殺せない…。
そして、死ぬこともできない。


この場面。
中日で観た時は、山南の最期と共に、ちょっとエピソードとして唐突な気がしちゃったんですよね。
山南さんのは、有名なエピソードだし、あって当たり前だとは思うのですが。これはなんで?って。

本当に残念ながら。
中日の時は、私、この作品を「新撰組の物語」と思って観ていたんですよね(涙)。
でも、そうじゃなかった。
「星影の人」は、「沖田総司の物語」であって、「新撰組の物語」じゃない。


それが解って、あらためて観た全国ツアー。
この場面も違うふうに見えてきました。


ああ、今、もう一度「中日の配役で」この作品を観たい!!
CS、本当に早く流してほしいよー(涙)。
…DVD買えって?月組のDVDですら買ったことないのに…!?


沖田と玉勇。
土方と照葉(加代)。
山南と明里。
そして、桂と幾松。

山南と明里は、あまりにも有名なエピソードですが、山南が自ら死を望むに等しい行動を取ったことによって終わりを告げる。
そして、この「星影の人」の山南は、明里の身請け金を用意し、「身の立つようにしてやってくれ」と山崎に後を託していくのです。

幾松は、この後も影にひなたに桂に協力し、後におしどり夫婦として明治の元勲を助ける名夫人となる。

そして、土方は。
“復讐”に凝り固まった不幸から加代を救い、生きる希望を与えるんですね。
彼の熱は、女をとろかす。愛が真実かどうか、は、きっと本人にも解らないのでしょうけれども。彼に愛された女は「生きる意志」を持つことが出来る。それは、彼自身が「人生」を愛しているからだと思うのです。
そして、土方が「人生」を愛していたからこそ、彼は最期の最期まで戦い抜き、箱館まで赴いて壮烈な死を遂げることになるのです……

そんな中で、

ならば、沖田と玉勇、は?

若く、健康に溢れた澄んだ若者だったはずの沖田が、病魔にむしばまれた時。

彼は、玉勇を救うことができない。
彼女に生きるときめきを与えることができなくなってしまう…。

土方の熱と強さ。
沖田の透明感と優しさ。
それは、互いに対極にあるもので、
それ故に男たちは惹かれあい、協力し、尽くすのでしょうけれども。

沖田の愛の切なさ、は、この場面で露わになる土方の熱によって、よけい浮き彫りになるのです。

彼の愛は純粋すぎて、女を救うことはできない。
女は最期までついてくることさえ、できないのですから…。

柴田さん…深すぎて私、一回じゃわからなかったですぅ…(涙)。



そして。
池田屋。

ココは、やっぱりラジオドラマじゃなくて違う演出の方が…と思ってしまうのは変わらないのですが。

でも。
この場面を無しにして、屯所で待っている玉勇を描く、という自分の案は却下します。
だって、……桂さんの出番が無くなっちゃうんだもん(涙)。


ここでもまた、テリトリーを奪われた野良猫みたいな目をして、下手袖から現れるらぎちゃん。

舞台前を駆け抜けていく追っ手から隠れて、しゃがみこむ時、
立ち上がって歩き出す前に、前後を警戒する時、
さっと後ろを振り返ったはずみに、ポニーテール 総髪がパサッと頬に当たる。

ドキドキ。

…ちょっと乱れた裾が色っぽいです。っていうか、何してたの今ま(←やめとけ)

……そういうところに既に壊れている私っていったい………。


幾松のいづるん(天勢いづる)が「桂はんっ!」と声をかけると、目に見えて雰囲気が柔らぐ。
テリトリーに戻った猫みたい。
微かに笑顔がのぞいて。

…そして。

ナウオンで「大難関」と言われた、着替えシーンっ(滝汗)。

………帯をもらうのに、2,3回取り損ねたよね?振り向いたら全然帯が回ってなかった…!!ま、間に合うのか!?と。あんなにドキドキしたのは「血と砂」の初日のフィナーレで、ゆう(←黙れ)
しかも、2回観たうちのどっちかは、この場面で桂のマイク入ってなかったんですよ!!(涙)。悲しい……。着替えながら必死で喋る台詞、可愛かったのに(←意味わからん)

幾松に「うちは桂はんの女房のつもりどす!」と言われ、「桂はんがいなくなったら、うちも死にます」と言い切られる桂。

彼はこの時、俺は死ぬわけにはいかん、と、あらためて思ったんだろうなあ…。その辺りが、すごく柴田さんっぽい役なんですよね。愛のために生きようと決心するところが。

CSのお稽古風景で、ド正面から映してくださったらぎちゃんの「…幾松…!」のラブシーン。
下手前方で観ると、まさしく自分が言ってもらったみたいですごーーーーく幸せになれますよ♪♪♪センター辺りに座っていても全く見えないけど(涙)。

下手に向かう途中、
玉勇さん一行とすれ違う。

沖田のことを一心に心配する玉勇に、ふ、と同情する桂。

幾松を愛しているから、玉勇の気持がわかる。
もしも、幾松がこんなふうに決戦場へ向かうすがたを見たら、新撰組の連中はどうするだろうか?と思いながら。

沖田が心配なわけじゃない。
斬れるものなら、俺が斬っただろう。だが。

きっと、沖田なら。沖田なら、幾松に俺の運ばれた先を教えてくれるはずだ、と。

…だから。

「壬生の屯所に運ばれなすったみたいですよ」

ちょっと面を伏せて。

仲間たちの仇。
共に天を戴くわけにはいかぬ仇敵、だが。

「あんた、沖田さんの?」

あんたが生きるために沖田が必要なら。
今は、今だけは預けておいてさしあげましょう…。


「…大事にしておあげなすって」

……なんで江戸っ子なのかよくわかりませんが(汗)。

この私が腐女子視点になりようがないくらい、「沖田への愛」はあまり感じない桂でしたね(←残念なの?←いや、そうでもない)。

かなめちゃんの桂さんは、かなり萌え萌え(←だからお前だけだって)だったのに、
脚本も演出も全く同じなのに、演じ手ひとりでこんなに違うものなんですねぇ。すごいなあ…。


壬生の屯所を訪ねる、玉勇と染香姐さん。
おみよのシナちゃんに「はい、沖田せんせいが大好きですねん!」と言い切られて、ふ、と振り返る染香姐さんが大好きです。
「えらい強敵がいてはるえ」
……こんなどシリアスな場面で、どーしてそういう笑いを取りにくるんですか!?笑っていい場面なの、ねぇっ!!


この後の、となみちゃんの「どうぞ私に、あの人をかえして」というソロ歌がとても好きです。
となみちゃんの音域に合ってますよね。歌いやすそうで、一番激しい感情が籠もっていると思います。

理不尽な運命に対する、理不尽な怒り。
誰にも私の愛する人を奪う権利なんて、ないのに、と。

ここまで、のらりくらりと天然に生きてきた天使が、爆発する。

あのひとは私のモノ。
誰にも、神さまにも渡しはしない。

あのひとは、わたしのなんだからねっっ!!


幕があがると、医者(飛鳥裕)の家。
逃げようとする医者を剣で脅して、
娘の早苗(晴華みどり)から「2年」と宣告を請ける沖田。

この時の。
「二年か……忙しいな」
という台詞は、この芝居で一番の名台詞なんだと思います。

運命を受け入れて、何をするかを決めた男の言葉。
女の立ち入りを赦さない、決意の言葉。

これに続く、「星影の人」という歌も好き。
ユミコ(彩吹真央)さんのソロがあまりにも素晴らしかったので、キムちゃんはちょっと苦戦していたようでしたが。

「土方」として「沖田」を見守る芝居はしっかり出来ているキムちゃんなので、初日から3週間の進化が楽しみです!

あとは、ちょっと音楽が入るタイミングが早すぎるのが残念!もう少しタメをいれさせてあげたいので、ちょっと前奏の入りを遅らせてくれているといいなあ……
(土方さんの歌い出しが、台詞に被りそうだったので)



土方さんが歌い終わると、沖田が「生きるときめき」を歌いだす、のですが、

な、な、長いだろいい加減………。

あと少しといえば少しなんですけど、
やっぱりもう一回、続きますm(_ _)m。



コメント