バレンシアの若い花々
2007年8月28日 宝塚(宙)宙組東宝劇場新人公演「バレンシアの熱い花」を観て参りました。
明日の朝は早いので、
…というか、本公演を観たのが大劇場始まってすぐの時以来。今の、東京に来てからの本公演を観もしないでなんだかんだ語るのはまずいよなー、と思いましたので、
今のところは、特に印象に残ったところだけ簡単に。
新公演出は生田大和さん。
月組「パリの空よりも高く」と同じ演出家ですが、やっぱりこの人の演出は結構心理描写が細かいなーと。
本公演の中村演出が、どうも心理描写をすっ飛ばしているところには疑問を感じていたので、そこをクリアしてもらってだいぶ観やすくなったなぁ、と。
それはやっぱり、彼の功績なのではないかと思います。
……本公演の方も、大劇場公演を丸々終えて、再度お稽古をして東京に来ているのだから、さぞ進化しているんでしょうね(^ ^;。
観てナイのにすみません(汗)。
フェルナンド・デルバレスのみーちゃん(春風弥里)。
…役者は、ましてや柴田役者は声だな、と、心の底から思いました。
見た目(特に化粧は問題ありすぎです/涙)や所作は、これから磨いていただければなんとかなる(かも)(是非!)
でも、あの声は本当に天性のものなんだな、と。
持って生まれた喉の強さ、声が響く咽頭のつくり、そして、(これは訓練かもしれませんが)滑舌のよさ。
台詞が明瞭で、声の響きが深く柔らかで、歌に情がある。
なんだか、ひさびさに「もっと聴いていたい…」と思った声に出会った気がしました。
ダンスは…踊れる人のはずなんですけど、、、、衣装の着こなしが悪いのかな?(本役がタニちゃんだもんな…気の毒な)
なんとなく、ですが、所作の一つ一つ、動きの一つ一つにちょっと重たい印象があったのが残念な感じでした。
もう少し「見られる自分」を意識して、脚をまっすぐにして立つとか、体型の補正に合わせた仕草(肩を補正したなら、その状態で腕を奇麗に動かすにはどうしたらいのか)とか、そういう細かいことに意識を向けてみたらいいんじゃいのかなー、な〜んて思いました。
いや、そんなことよりどんなことより、まずは化粧を………ねぇ(涙)
まぁ、見た目はともかく(え?)(メンクイの猫が言っても説得力ないよ)、声は本当に得難い声だと思いますので。
ぜひ、声に見合った姿を、一刻も早く手に入れていただきたい、と、強く思ったのでした………。
そして、今回の新公、立役者が二人。
セレスティーナの和音美桜と、レオン将軍の八雲美佳。
…生田さんは、専科・組長格の役者の役に思い入れでもあるんでしょうか?「パリの空よりも高く」でも、エレノールの青葉みちるはじめ、専科チームの上級生が皆、本役と全く違う役作りで物凄〜く良かったんですよね。
多分、本人の実力以上に良かった人もいたと思う。
「芝居」を作る上での、「脇筋」の役者の重要性。
それを本当に意識してくださる演出家は、ありがたい存在だなあと思います。それでこそ、彼らのやる気も出るでしょうし、彼らが「面白い」と思って動いてこそ、下級生もついていくものでしょうから。
主演者は、多少拙くても、ある程度までは作品でカバーすることもできますが、「脇筋」がしっかり組み立てられる役者に出会えない作家(演出家)は気の毒ですし、逆にそういう人を育てることこそ、新公演出家の大事な仕事だと思うのです。
…だから私は、生田さんには結構期待している訳なのですが。
というわけで。
侯爵夫人セレスティーナ。
……たっちんは、歌が巧いだけの人じゃないんですね。
声そのものが素晴らしいんです。台詞の声が。
マルガリータは、あの「清純さ」を出すのに若干苦労していらっしゃいましたが、セレスティーナはまさに「貫禄」の巧さでした。
ああいう気品のある役があんなに似合うんだ…と嬉しい驚き。
ドレスも奇麗に着こなして、化粧も美しくて、ルカノールの暁郷(…たっちんより下級生なんですよね…それも驚きだよ…)に
「昔愛した貴女」と言われる存在としての説得力もばっちり。
ただ、物語の終盤、「黒い天使」を追って邸へ踏み込んできたルーカス大佐(蓮水ゆうや)を退けようとするところなどは、もう少し強くてもいいのになーと思いましたが。
下手に強く言うと「きゃんきゃん」と喚くような印象になってしまうのであえて抑えたのでしょうけれども、もう少し凄みがあると良かったのになー、と。
不満はそのくらいです。本当に。
長としての挨拶まで含めて、本当に素晴らしかったです。
ありがとう(はぁと)そして、お疲れさまでしたm(_ _)m。
そして、レオン将軍の八雲美佳。
本役(美郷真也)の巧さに及ばないのはある意味当たり前なんですけど(宝塚ひろしといえども、まりえったさんより芝居の巧いひとなんて何人もいないんですから)、
独自の解釈で、かなり違った「レオン将軍」像をつくられていたことに感心しました。
レオン将軍って、脚本的には、かなり遣り手で、フェルナンドたちの行動もほとんど指先で操っているくらいの存在のハズだと思うのですが。
まりえったさんがやると、どこからどうみても好々爺なんですよね…(汗)。
一番素敵(胸きゅん☆)なのは、邸でセレスティーナとお茶しながら、孫娘(マルガリータ)の心配をしている図……って感じでしたから。
八雲さんは、脚本で描かれている以上に有能で腹黒い、いや黒いは言い過ぎかもしれませんが、裏のある人物に見えました。
そうなると、フェルナンドの若さが生きてくるというか。
他にもいろいろ、ポイントポイントで「なるほど!」と思ったり、本公演で「?」と思ったことがいろいろ解けてくる新公、でした♪(笑)
で。
みーちゃんフェルナンドで面白いな、と思ったのは、最初のレオン将軍に挨拶に来た場面。
まっすぐで生真面目な青年士官、というのがぴったりの形容詞だったんですよね。
マルガリータ(天咲千華)がまた、まさに人形のように可愛らしくて。口を開くたびに大変なことになっていましたが、一心にフェルナンドだけを憧れの眼で見凝めている様がぴったりで。
こんな、生真面目でおかたそうなフェルナンドだったら、よく似合うだろうけど、他の人じゃ無理かも…というくらいの浮世離れした「記号としての少女」そのものでした。
そんな「少女」とお似合いの青年士官が。
レオン将軍の企みに乗り、芝居を始める。
豪放磊落な振りをして、酒場に行って遊んでみたり、女を口説いてみたり、
でも、あくまで芝居なので色気は無い
イサベラとの恋も、最初は芝居のつもりだった。
遊びでさえなく、ただのお芝居。
たとえイサベラが本気になったとしても、それでも。
でも。
「黒い天使」の正体を見破られた時。
フェルナンドの脳裏を、とっさに「口封じ」という3文字がよぎったかもしれない、
その3文字を意識しての、キスだったのかもしれない、
…最初は。
この、燃えるような眼をしたバレンシア娘に、
恋をしてはいけない。
私には帰るところがあるのだから、と…
そう、思って。
それでも。
全てを成し遂げて、凱旋を果たした時に。
イサベラに別れを告げられたフェルナンドは。
ロドリーゴの、血を吐くような叫びを耳にして、思わず呟く。
わたしのイサベラも、しんだ、…と。
…みーちゃん。
私は、あなたの声をいつまでも聴いていたかったです……。
。
明日の朝は早いので、
…というか、本公演を観たのが大劇場始まってすぐの時以来。今の、東京に来てからの本公演を観もしないでなんだかんだ語るのはまずいよなー、と思いましたので、
今のところは、特に印象に残ったところだけ簡単に。
新公演出は生田大和さん。
月組「パリの空よりも高く」と同じ演出家ですが、やっぱりこの人の演出は結構心理描写が細かいなーと。
本公演の中村演出が、どうも心理描写をすっ飛ばしているところには疑問を感じていたので、そこをクリアしてもらってだいぶ観やすくなったなぁ、と。
それはやっぱり、彼の功績なのではないかと思います。
……本公演の方も、大劇場公演を丸々終えて、再度お稽古をして東京に来ているのだから、さぞ進化しているんでしょうね(^ ^;。
観てナイのにすみません(汗)。
フェルナンド・デルバレスのみーちゃん(春風弥里)。
…役者は、ましてや柴田役者は声だな、と、心の底から思いました。
見た目(特に化粧は問題ありすぎです/涙)や所作は、これから磨いていただければなんとかなる(かも)(是非!)
でも、あの声は本当に天性のものなんだな、と。
持って生まれた喉の強さ、声が響く咽頭のつくり、そして、(これは訓練かもしれませんが)滑舌のよさ。
台詞が明瞭で、声の響きが深く柔らかで、歌に情がある。
なんだか、ひさびさに「もっと聴いていたい…」と思った声に出会った気がしました。
ダンスは…踊れる人のはずなんですけど、、、、衣装の着こなしが悪いのかな?(本役がタニちゃんだもんな…気の毒な)
なんとなく、ですが、所作の一つ一つ、動きの一つ一つにちょっと重たい印象があったのが残念な感じでした。
もう少し「見られる自分」を意識して、脚をまっすぐにして立つとか、体型の補正に合わせた仕草(肩を補正したなら、その状態で腕を奇麗に動かすにはどうしたらいのか)とか、そういう細かいことに意識を向けてみたらいいんじゃいのかなー、な〜んて思いました。
いや、そんなことよりどんなことより、まずは化粧を………ねぇ(涙)
まぁ、見た目はともかく(え?)(メンクイの猫が言っても説得力ないよ)、声は本当に得難い声だと思いますので。
ぜひ、声に見合った姿を、一刻も早く手に入れていただきたい、と、強く思ったのでした………。
そして、今回の新公、立役者が二人。
セレスティーナの和音美桜と、レオン将軍の八雲美佳。
…生田さんは、専科・組長格の役者の役に思い入れでもあるんでしょうか?「パリの空よりも高く」でも、エレノールの青葉みちるはじめ、専科チームの上級生が皆、本役と全く違う役作りで物凄〜く良かったんですよね。
多分、本人の実力以上に良かった人もいたと思う。
「芝居」を作る上での、「脇筋」の役者の重要性。
それを本当に意識してくださる演出家は、ありがたい存在だなあと思います。それでこそ、彼らのやる気も出るでしょうし、彼らが「面白い」と思って動いてこそ、下級生もついていくものでしょうから。
主演者は、多少拙くても、ある程度までは作品でカバーすることもできますが、「脇筋」がしっかり組み立てられる役者に出会えない作家(演出家)は気の毒ですし、逆にそういう人を育てることこそ、新公演出家の大事な仕事だと思うのです。
…だから私は、生田さんには結構期待している訳なのですが。
というわけで。
侯爵夫人セレスティーナ。
……たっちんは、歌が巧いだけの人じゃないんですね。
声そのものが素晴らしいんです。台詞の声が。
マルガリータは、あの「清純さ」を出すのに若干苦労していらっしゃいましたが、セレスティーナはまさに「貫禄」の巧さでした。
ああいう気品のある役があんなに似合うんだ…と嬉しい驚き。
ドレスも奇麗に着こなして、化粧も美しくて、ルカノールの暁郷(…たっちんより下級生なんですよね…それも驚きだよ…)に
「昔愛した貴女」と言われる存在としての説得力もばっちり。
ただ、物語の終盤、「黒い天使」を追って邸へ踏み込んできたルーカス大佐(蓮水ゆうや)を退けようとするところなどは、もう少し強くてもいいのになーと思いましたが。
下手に強く言うと「きゃんきゃん」と喚くような印象になってしまうのであえて抑えたのでしょうけれども、もう少し凄みがあると良かったのになー、と。
不満はそのくらいです。本当に。
長としての挨拶まで含めて、本当に素晴らしかったです。
ありがとう(はぁと)そして、お疲れさまでしたm(_ _)m。
そして、レオン将軍の八雲美佳。
本役(美郷真也)の巧さに及ばないのはある意味当たり前なんですけど(宝塚ひろしといえども、まりえったさんより芝居の巧いひとなんて何人もいないんですから)、
独自の解釈で、かなり違った「レオン将軍」像をつくられていたことに感心しました。
レオン将軍って、脚本的には、かなり遣り手で、フェルナンドたちの行動もほとんど指先で操っているくらいの存在のハズだと思うのですが。
まりえったさんがやると、どこからどうみても好々爺なんですよね…(汗)。
一番素敵(胸きゅん☆)なのは、邸でセレスティーナとお茶しながら、孫娘(マルガリータ)の心配をしている図……って感じでしたから。
八雲さんは、脚本で描かれている以上に有能で腹黒い、いや黒いは言い過ぎかもしれませんが、裏のある人物に見えました。
そうなると、フェルナンドの若さが生きてくるというか。
他にもいろいろ、ポイントポイントで「なるほど!」と思ったり、本公演で「?」と思ったことがいろいろ解けてくる新公、でした♪(笑)
で。
みーちゃんフェルナンドで面白いな、と思ったのは、最初のレオン将軍に挨拶に来た場面。
まっすぐで生真面目な青年士官、というのがぴったりの形容詞だったんですよね。
マルガリータ(天咲千華)がまた、まさに人形のように可愛らしくて。口を開くたびに大変なことになっていましたが、一心にフェルナンドだけを憧れの眼で見凝めている様がぴったりで。
こんな、生真面目でおかたそうなフェルナンドだったら、よく似合うだろうけど、他の人じゃ無理かも…というくらいの浮世離れした「記号としての少女」そのものでした。
そんな「少女」とお似合いの青年士官が。
レオン将軍の企みに乗り、芝居を始める。
豪放磊落な振りをして、酒場に行って遊んでみたり、女を口説いてみたり、
でも、あくまで芝居なので色気は無い
イサベラとの恋も、最初は芝居のつもりだった。
遊びでさえなく、ただのお芝居。
たとえイサベラが本気になったとしても、それでも。
でも。
「黒い天使」の正体を見破られた時。
フェルナンドの脳裏を、とっさに「口封じ」という3文字がよぎったかもしれない、
その3文字を意識しての、キスだったのかもしれない、
…最初は。
この、燃えるような眼をしたバレンシア娘に、
恋をしてはいけない。
私には帰るところがあるのだから、と…
そう、思って。
それでも。
全てを成し遂げて、凱旋を果たした時に。
イサベラに別れを告げられたフェルナンドは。
ロドリーゴの、血を吐くような叫びを耳にして、思わず呟く。
わたしのイサベラも、しんだ、…と。
…みーちゃん。
私は、あなたの声をいつまでも聴いていたかったです……。
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