花組東京宝塚劇場公演。
えーっと、何回目だ私?なんだかんだ言いつつ結構ハマっているのですが。

そういえば、まだショーについてはあんまり書いてなかったな、と気が付きましたので。
今回はショーのお話を。



ジャズをテーマにしたショーは今までにも色々ありましたが…
ま、私は雪組さんの「Let’s JAZZ!」なんかが好きでしたね(笑)。
あんまりジャズの素養がないので、難しいことを言われてもわからないし、地を這うような「オールマンリバー…」を聴けただけでも幸せでした。



んで、今回。大劇場で観て、
「さすが荻田さんのショーは凄い!」と思ったこの作品。

東宝の幕があいてすぐに観てみたら。
「春野寿美礼の、春野寿美礼による、春野寿美礼だけのショー」になってたんですよね。なので。
ああ、春野寿美礼を観たなあ、という深い満足感がありました…。


前回観た後の日記にも書きましたが。
トップスターは、ここまでやっていいのか、という純粋な驚きがまずあって。芝居で強く感じたこの感慨が、ショーになってもやっぱりもの凄かった。

やっぱり「今の」花組は「オサさんの組」なんだなあ、と思ったのでした。




オサさんと荻田さん、といえば、思い出すのは「マラケシュ」。
あの時、荻田さんがオサさんに振ったのは、「過去に生きる男」でした。
月組の「螺旋のオルフェ」のイヴと同様、オルフェウスとエウリディーチェの神話の後日譚をベースにした役でしたが、
愛する女と『自分に責任のある事由で』引き離され、喪い、それを悔やみ続けている。自分の「生」を否定しがちで、多くの精霊たちに愛されるけれども、愛に応えることはできずに現世を彷徨うだけの男。
最後に愛した女を救うことで赦しを得、砂の中へ還っていきましたが。


…そういえば、あの時も最後には神になったっけな、オサさんは……



もとい。
「マラケシュ」の時は、まだ荻田さんの掌の中にいたオサさん。

今回は、荻田さんの頭の中で創られたイメージとは、ちょっと違う方向へ行ってしまっているんじゃないかと思うんですよね、今は。で、それを荻田さん自身が楽しんでるんじゃないかなー、とか。
荻田さんのイメージを、春野寿美礼というプリズムを通したら、全然あさっての方に曲がってった上に、思いもよらない色もついた、みたいな感じがするんです。

でも、なんていうのかな、創り手側の「やってみよう、試してみよう」感がかいま見えるというか。荻田さんにしてもそれは折り込みずみだった感じがして、その「予想外」さがすごく面白い作品になっているような気がします。


タキシード・ジャズは、荻田さんにしては比較的わかりやすいショーのはずだったんじゃないかな。
「タキシード」で「ジャズ」っていうタイトルからしても、比較的高級感のあるジャズシーンを考えていたんだと思うんですよね。「Let’s JAZZ」で出てきたような、プリミティヴで力強い「アフリカ」というイメージを残したジャズじゃなくて。

実際、場面としても「20世紀のアメリカ」を出ることはないんですね。まぁ19世紀後半かもしれませんけど、とりあえず南北戦争前はない。黒人霊歌の時代じゃなくて、「ジャズ」の時代なわけです。
まぁ、むしろ「時代」をその時代に固定しておいて、音楽的にはジャズじゃないものもたくさん使ってましたね。さすがにシャンソンとかはなかったけど(笑)、いわゆる「ジャズ」っぽい、ビッグバンド系のもの、スウィングジャズ系のものはあえて外したのかなーと思いました。
ああいう「複雑な軽さ」「裏があるから表はシンプルに軽い」っていうのは、あんまりオサさんのイメージではないので、仕方ないのかな。観客としては、もっとシンプルに「これがジャズだよ!」っていうのを聴かせてもらった方がわかりやすかったのかもしれませんけどね(笑)。

でも、私はあの選曲好きです♪知らない曲ばかりでしたけど、楽しかった♪

大劇場の初日明けてすぐに観て、いきなりものすごくハマったんですよね。

まぁ、あの、まっつのファンですから、まっつがあれだけ活躍してくれればそれだけで満足っていうのもあるんですけど(恥)、まずキャストの豊富さに目が眩みました。


その前に観ていた月組大劇場公演「ファンシー・ダンス」。
私はこのショーももの凄く好きだったんですけど、これがまた「出る人」と「出番がない人」がものすごくキッパリしたショーで。
「こ、この人でさえプロローグとパレードにしか出てないのかよ…」ということがわんさかあったんですね。


しかし、「タキシード・ジャズ」。

一番目を疑ったのは、当然まっつが銀橋センターで歌い出したことですけど(←本当に信じられなかった)、同じくらいびっくり仰天したのがだいもん(望海風斗)以下3人のトリオと、扇めぐむくんのパレード前ソロ。

何が起きたのかと思いました…!!


月組でいえば、本公演で沢希理寿・彩星りおん・海桐望あたりのエンカレメンバーがトリオでソロあり、五十鈴ひかりがエトワール、みたいなもん…かな?


たしかに、扇くんもだいもん・ネコ(彩城レア)・アーサー(煌雅あさひ)も皆、去年のエンカレッジコンサート(もう一年経っちゃいましたねー)で結果を出したメンバーなので、再び声が聴けて嬉しかったんですが。

他にも、場面ごとにいろんな人がたくさんソロをもらっていて、そういうのが凄く羨ましかったんですよね。

月組は、タキさんがいらっしゃるから、どうしてもそこに集中してしまいがちですし…。タキさんの歌声は大好きなので、たくさん聴けるのは嬉しいのですが、どんなに達者な歌姫でも、声のバリエーションには限りがありますから(^ ^;。


なんていうかな、全体のバランスが良かったんでしょうね。

思ったほど、オサさんとシビさんが「歌いまくる」ショーではなくて、たくさんの歌姫がそれぞれの場面に合った声でソロをもらっていて。
大劇場の初日すぐに観た時は、人によっては(まっつ含め)まだまだ…いや、正直に言えば「他に人いるだろう」と思ってしまったところもありましたが、さすがに東宝もラストに近づいた今は、皆さん全開で歌っていらっしゃって。

気持ちよく、世界に浸って音を紡いでいる。

とても気持良かったです。


そして。
その、「世界」を創る神として、オサさんがいる。

そんな感じでした。




そして。

一番割を喰ったのは、ごくまっとうに「普通」の男であるまとぶん。
この人は、本当に「まとも」な男なんですよね。

本来、与えられた役に入り込むタイプなので、芝居でなら「人間外」の役もやれると思うのですが(だから刻の霊はかなり楽しみ)、
「真飛聖」で勝負しなくてはならないショーにおいては。
いつだって「まともで誠実な男」なんですよね…。

その毒のなさは、宝塚の路線スターとしてものすごい麗質だと思うのですが。
荻田さんのショーにおいて、しかも春野寿美礼が神として君臨する花組のショーにおいて、まとぶんの「まともさ」「誠実さ」っていうのは一片の価値も与えられない。
容姿のキレイさ、衣装の似合いよう、歌・ダンスに破綻ない実力と不足はない人なのに、どうにも使いようがない。

オサさんと勝負させることもできない(だって別次元の存在だから)二番手、って、本当に難しいなぁ、と思ったのでした…。

まとぶんのことは大好きだし、「路線スター」の一人としては別格の魅力を放っていたし、壮ちゃん・みわっちを従えた「とんちんかんトリオ」のところはとっても良かったので。
いいんじゃないかな、そのままで。
もう仕方ないよ。オサさんに二番手はいらない。それだけのことだから…。



で。
芝居ではしっかり3番手「主役の親友」を勤めている壮一帆。

壮ちゃん、本当に花に帰ってこれて良かったねーーーー、と、
芝居で非常に強く思ったのですが、ショーでも思いました。

雪組でも愛されていたけど、どっか浮いていた壮ちゃん。
ショーでも、なんとなく「置き場所に困って」いた壮ちゃん。

花ではしっくりと馴染んで、「いい人オーラ」と「太陽のような笑顔」という武器(雪組ではまったく役に立たなかった…)ですっかりテリトリーを確保した壮ちゃん。
すっかり惚れ直してしまった(笑)。頭の中将がんばってね〜♪



「3番手」に定着したみわっち(愛音羽麗)。
どうしても「幻の女」に話題が集中しがちですが。
まとぶん・壮ちゃんと並んだ時に、すごく似合っていたことに驚きました。
ああ、スターなんだな、と。



2回も銀橋センターで歌わせていただいているまっつ(未涼亜希)。
…ファンなので。大好きなので。
ソロが聴けて幸せです。

今だからやっと正直に言えますけど。
大劇場で観た時も、東宝初日すぐに観た時も、「え、まっつの歌ってこんなんだった…?」って耳を疑ったんですよね。
ちょっと音域的に厳しいところだったんですけど、もの凄く喉に力の入った歌い方で。「良い声」が全然出てなかった(涙)。

でも。
すごく良くなってました。
あの音域の攻略方法がわかったんでしょうか。
やっと「銀橋センターでソロ」っていうプレッシャーから抜けたんでしょうか。

ああ、これよこれ、これがまっつの声よ、と、
回りの方に自慢したい歌になってました(←迷惑だからやめとけ)
あー良かった。ひと安心(笑)。



一花ちゃんの「アメリカン・ガール」が最高に可愛い。でも、彼女がずーっと出ているので、他が観られなくてとっても困るんです…。
バビロンの時もレオン&ウメがずーっと舞台の端っこで踊っていて、とっても困ったっけ(涙)。荻田さん勘弁してよ、と思う唯一の点(笑)。




さおり(高翔みずき)さんのソロダンスもカッコイイ♪♪
ただ、ねぇ。つなぎの場面だから仕方ないんですけど、願わくばあの衣装ではなくて着替えさせてあげたいよー…あの衣装で踊るならもう少し衣装にあった振付でお願いしたかった。
あのニコニコ笑顔のまま舞台に残って、スポット浴びて音楽が変わった時に表情が激変するあたり「さすが」と思うんですけどねぇ。衣装がね…。


彩音ちゃんはやっぱりダンサーなんだなーと感心。
今回、オサさんは野々すみ花ちゃんとも踊るし、鈴懸さんとも踊るし、華月由舞ちゃんとも踊るし、もちろんみわっちとも組むし…いろんな人と組んでいらっしゃって、それもすごく月組ファン的に羨ましかったりするんですけど(笑)
やっぱり彩音ちゃんと組むと、すごくデュエットが映えるんですね。
彩音ちゃん、背が高かったり体格的にもしっかりしていたりして、華奢なオサさんと組むのは難しいと思っていたんですが。
オサさんは今回「神」なので。
大きさなんて「神」には関係なかったな、と。

中詰め後の「ナイト・ジャズ」の場面で、まとぶんと彩音ちゃんが組むところがありますが。
この二人も雰囲気いいですよね〜。なんか初初しくて可愛い♪
毒々しい「幻の女」みわっちと、清純な彩音ちゃん。衣装も白と淡いグリーンで、「樹精」のようなイメージの彩音ちゃんと、同じデザインでモノトーンの「土精」のみわっち。

オサさんの探す女は「樹精」。爽やかな翠の香りがするような乙女。なのに、出会ったと思えば腕からすり抜けていく。
この場面ん、大好きなんですけど、どこがどう「ジャズ」なのか意味不明、ではあるんですよね…。

で、オサさんが振り向くと土精の女王のような女が立っている。
白鳥と黒鳥。そっくりだけど色が違う二人の女。
王子はギリギリで気づいて手を離す。戻ってくる樹精は、けれども他の男(これも樹精?)と手に手を取って行ってしまう。


…わからなかったのは、場面の最初に赤いスーツで出てきたまとぶん(ものすごく良く似合ってはいた。確かに)は何だったんだ、っちゅーことなんですけどね。
(いや、そんなこと本当にどうでもいいんですけど)
確か彼が彩音ちゃんを最初に示してましたよね。森の王なのかなーと思ったんですけどね。…衣装を着替えた時点で別人と思えって感じ…?


水の精たちの場面はだいたい判ったんですけど(いや、橋から落ちたとは気づいていませんでしたが、酔っぱらってそういう幻覚を見ているんだろうと思ってました)。ナイト・ジャズの、特に赤いスーツのまとぶんは、私にはちょっと意味不明の役でした…(汗)。

何か解釈をご存じの方、あるいは想像している方、ぜひぜひ教えてくださいませ。


うーん。
なんか色々思い出しているうちにまた見たくなってしまった(笑)。
大好きな人が大活躍している舞台、って、何度観ても楽しいものですが。
うーん、またサバキ待ちしに行っちゃおうかなぁ…。




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