初台の、新国立劇場中ホールで上演中のブロードウェイミュージカル「モダン・ミリー」。

こんなに爽快な気分になったのは久しぶり!というくらい楽しい公演でした。
…なんだか最近、どっかの公演プロモーターの宣伝マンみたいだな私…。


でも、本当に楽しかったんですよ!!

まずはキャストから。
宝塚OGは、リカ(紫吹淳)さん・樹里(咲穂)さんのお二人。
あとは川崎麻世さん、岡幸二郎さん、前田美波里さんのミュージカルスターに、歌手兼女優の今陽子さん。そして、元劇団四季の青山明さん、木暮清貴さん、レ・ミゼラブルなどで大活躍の高谷あゆみさん、西原純さん他、総勢24名のキャストが綴る、オトナの夢物語

こうして見ると感心するくらい、実力派のキャストを集めたなーという印象です。その中で、歌に限ってはどうしても元男役のリカさんは一歩下がってしまうのですが、やはり舞台の上での華は抜群でした。1920年代っぽい“モダン”な衣装がもの凄く似合って、やっぱこの人は人間じゃない…って感じ。

樹里ちゃん共々、あのキレイな脚を全開にして舞台を駆け回ってます。あの美脚だけでもチケット代の元が取れます(←おい)



作品も音楽も、何もかももちろん良かったのですが、
なんと言っても最高だったのは演出・振付のジョン・マクニーリーなのだと思います。
モダン・ミリーのオリジナルブロードウェイ版でトニーの振付賞を獲ったRob Ashford本人は参加していませんが、マクニーリー自身、他作品で何度もノミネートされている実力派。しかも、モダン・ミリーは全米ツアー版から入っているから、作品理解も十分。
加えて、日本キャストの理解が素晴らしい!これはプロデューサーとの意思疎通がはかれていたおかげでしょうね。芝居の細かいところまで演出が行き届いていて、本当に良くできていました。


…ま、このスタッフとキャスティングなら、もう安心、って感じですよね(笑)。





2002年のトニー賞ミュージカル作品賞を獲得した「モダン・ミリー」。「マンマ・ミーア」や、脚本・演出・スコア賞を獲った「ユーリンタウン」を抑えての受賞でした。


ストーリー的には、シンプルな「A Boy Meets a Girl」系…とは言えませんね。

…「A Girl Dreams a Boy」とでもいいましょうか。

『玉の輿』=『ボスとの結婚』を夢見て面接を繰り返す、NYに出てきたばかりの田舎娘(テキサスだったかな…)、ミリー。

まず、この「あたしがボスを面接するのよ!」という意外性でまず笑えます。
リカさんが、あの丸顔にぱっつりボブで可愛らしく、キュートに、1920年代らしい“モダン”なファッション(モチロン膝上!)で歩くだけで、もうステキっ!!俺も面接してっ!!…って感じ(←オヤジすぎるよ自分)。



で、女性専用の貧乏下宿屋(というかウィークリーホテル?)“ホテル・プリシラ”のおかみ、ミセス・ミアースの前田美波里。
この役は、2002年のトニー賞の助演女優賞(ハリエット・ハリス)を獲った役ですが、ものすごーーーーく印象的な役でした。ビバリさんもすっごい楽しそうに(え?)演じていらっしゃいました(笑)。メークも何もかも、怖いのなんの。チラシのメークなんてごくごく普通の「ちょっと化粧が派手目な奥さん」って感じですが、まさに「悪魔メーク」。そのまま聖鬼魔IIと一緒にライブやって欲しい感じでした(爆笑)。

この人は、田舎からやってきた純真な女の子を格安で泊めてあげる替わりに、身寄りがないことが判った子はとっとと香港だかどこだかへ売り飛ばすという特別ルートの持ち主。
お父さんが亡くなって身寄りが亡くなった子を$400で売り飛ばすところから話が始まります。



樹里さん扮するドロシーは、そんなホテル・プリシラにうっかり迷い込んできた、「世間知らずな田舎のお嬢さん」。ただし女優志望。
これまた、1920年代だけど最先端ではなく少しクラシカルな、膝が隠れるスカートでに身を包んで、イライザみたいな(←意味不不明)縦ロール…
初日は登場しただけで爆笑だったそうですね(^o^)。
私が観た日はそんなこともなくて、私は一人で笑いをこらえるのに必死でした(大笑)。

でも今回、一番驚いたのはその扮装ではなく(←当たり前だ)、その、声。
先月のミュージカル・ガラ・コンサートからわずか一ヶ月半。
たったそれだけで、あんなに劇的に声が変わるとは!

あの時、出ることは出たけどあんなに不安定だった頭声が、信じられないほど見事に響いてくれて。ちょっと厚みのあるメゾの声。
岡幸二郎さんとのデュエットなんてもう最高でした!!いつまでも聴いていたかった(涙)。




その岡さんは、リカさんミリーに面接『される』ハンサムな社長さん。
ミリーはすっかり「私の婚約者」扱いされるのですが、全く気が付かない鈍感な仕事中毒。

ちょっと意外なキャラクターで、ラストも意外なところに落ち着くのですが。
ネタバレは後に取っておいて。
とりあえずは、岡さんのクラシカルな美声を、久しぶりなくらいうっとりと堪能できますよとだけ書いておきます♪

…っていうか、あのキャラは私の一番好きな“岡幸二郎”だったりします(幸)。





対する川崎麻世さんは。
ちょっとうさんくさい、神出鬼没のフリーター(?)青年。
実は大歌手のマジー(今陽子)と親しかったり、ドロシーとも以前からの知り合いっぽかったり、と謎の多い男ですが、とりあえず2枚目で、でも社長(ボス)じゃないからミリーの恋の対象にはならない。
そんな存在。

私は麻世さんってレ・ミゼラブルのジャベールを観るまであまり良い印象を持っていなかったのですが。
ジャベールは良かったんですよね、切れ者で。歌も、声が合っていて良かったですし。
その後も何度か拝見していますが、良い俳優さんだなーと思って観てきました。

そして、今回。

すっげー、かっこよかったです♪(^ ^)

なんというか、あの“うさんくささ”がいいんですよ!
まっとうな「美青年」ではない(もうそういうお年でもありませんし)、ちょっと嘘のある、でも誠実な役柄が、とってもよくお似合いで。
背中がイロっぽくて、リカさんとのバランスも良くて。
久々の麻世さんでしたが、とってもステキでした♪





まぁ、濃い人だらけのこのキャストの中で、リカさんのミリーと麻世さんのジミーだけが「まとも」な人生を歩もうとしている人間なので。
どうしても印象としてはミセス・ミアースとか樹里ちゃんのドロシーとか岡さんの社長とかが目立ってしまうのですが…

やっぱり、「まとも」な二人を主役にしないと話がまとまらないんですよね。
そして、「おかしな」人に囲まれた「まとも」な主役を演じるには、よほど圧倒的な「華」ないと本当に無理なんですね…。

ミセス・ミアースにしても、ドロシーにしても、社長にしても、キャラクターがものすごーく立っているだけに「見せ場」もはっきりしていて、そこで全てを持って行けるのですが。
ミリーとジミーは、それなりに見せ場はたくさんあるけれども、キャラクターがそこまで強烈ではないので、「全てをかっ浚う」感じにはならないんです。
でも、リカさんも麻世さんも、さすがに大劇場の座長を務めて来た人は違うな、という華がありましたね。
素直に凄い、と思いました。



2幕のリカさんのソロは、音域がちょっと合わないんで苦戦していらっしゃいましたが。
うーん、舶来ミュージカルは音域に自分を合わせないといけないので苦しいところですよね…。もうちょっとなので、がんばってほしいです!





あと、元劇団四季の誇るおじさん俳優、青山明さんが、ミセス・ミアースの悪事の手伝いをさせられている中国人の役で出演されていて。

彼が、最後の最後にすべてをさらっていってくれました。

四季を退団後初めて拝見しましたが、本当に良い味だしてくれて嬉しいです!

青山さんの弟役の西原純さんは、私は過去、一度だけストレートプレイで拝見したことがありますが、こんなに歌える方だとは露ほども思わず…!びっくりしました。
また兄弟そろって中国語のお上手なこと!青山さんは四季の中国公演とかにも行っていらっしゃるはずですが、西原さんはなんであんなに巧いんでしょうか。最初は(日本語全く話さない役なので)中国人キャストかと思いました(汗)。
中国服と帽子がメチャクチャお似合いで、小柄なのに動きのキレがよくて、相手役さんとのバランスも最高で(爆)、ホント良かったです。次の出演が楽しみ♪





ちなみに、27日の夜公演は、終了後に麻世さんと樹里ちゃんのトークショーがあるそうです。ご興味のある方は、ぜひ♪観てみてくださいませ♪後悔はさせませんぜ♪



コメント

nophoto
はにはに
2007年4月26日18:14

やっぱりすごく面白かったんですねぇ〜

りかちゃんが良かったと聞いていて、観たいなぁと値下がりチケット探したのですが無かったです(こらっ!)

何しろ5月に2回大劇場へ雪エリザ遠征を控えて、今は他のお芝居を一切控えて静かにしているところです。GWあけには花組恐怖の一日置き連続観劇もあるし・・・

丁寧に感想書いてくださって有難うございました(^^)

みつきねこ
みつきねこ
2007年4月26日22:43

面白かったですよ〜♪値下げチケットは私も期待していたんですけど、さすがにこれだけ面白いと売れてしまうようで(←とっても嬉しいコトですけど、ある意味残念)、今んとこ出てないみたいですね。
私も5月は結構遠征予定が詰まってます(笑)が、はにはにさまもお忙しそうですね♪お身体に気をつけて〜♪