月組公演を観てまいりました。

年が明けてから9日間に観た舞台。
星組「ヘイズ・コード」2回、星組「ハレルヤGOGO!」1回、そして月組「パリの空よりも高く/ファンシーダンス」5回(!)

……我ながら。

莫迦!

です。
知ってます。はい。…放っておいてくださいませ。


観劇しての感想。

  思って(覚悟して)たより、ずーっと面白かったです!!
  お正月にぴったりの、ぱぁっとした あ・軽いコメディ。
  麻子さんが素敵で、かなみちゃんときりやんが可愛くて。
  (嘉月)絵理さんが渋くて、ナホ(越乃リュウ)ちゃんが胡散臭くて、
  研(ルイス)ちゃんが若作りしてがんばってました♪

  下級生にまったく役がなかったのがどうにも…でしたが、
  ショーはめちゃめちゃ良かったし、私はなんとか通えそうです。

  ……みりお(明日海りお)くんが可愛くて可愛くて…
  持って帰りたかった…(溜息)。

以上、で終わらせてもいいんですが。

もうちょい真面目に、「作品について」語ってみてもいいでしょうか…。


月組はおかげさまで、ずいぶんと長いこと「植田といえば景子さん」でした。

だから。
ノン(久世星佳)さんの時代に初めて観て、ファンになって以来月組一筋の私にとって、
植田(紳)さんの芝居作品で、複数回観たことがあるのは、役替わりがあった「ベルサイユのばら」と「風と共に去りぬ」くらい。

他組でも、避けてたわけではないはずなんですが、案外観ていなくて…。
覚えているのは、宝塚ファンになりたてで訳がわからなかった「ザッツ・レビュー」、遅刻して途中から観たため、さっぱり話が見えなかった「天使の季節」、花柳芳次郎さんの振付が印象的だった全ツ「蝶・恋」…くらいでしょうか。どれも一回づつ。

あ、一昨年の全ツ「ジャワの踊り子」があったか。
あれは複数回観てるな。
でもあれも、菊田作品の谷演出ってイメージで、植田さんの作品、という気がしないしなあ。


何が言いたいかと言うと。

私はネットで散々書かれていた「植田(紳)かよ!?」という衝撃は、比較的軽い人だったわけです。
宝塚の演出陣の中で、一番「知らない人」だったから。

「ベルばら」と「風共」というのは、いずれも「宝塚」の「財産」で、「グランドロマン」で、「古典」で、「なくてはならないもの」。
しかも一般人受けする。私も会社の同僚などに「ベルばら観たいなー」と何度言われたことか。

だから。
植田さんの、「普通のコメディ」ってどんなものだろう、と。

すごく興味を持っていたのですよ。

(まぁ、「蝶・恋」を見てるんだから、あとは推して知るべし…って気もしますが)

そんな気持で観劇した、「パリの空よりも高く」

…菊田作品でした。

いや、違う。

正確には。

「菊田作品にベルばらを足して3で割りました」

…って感じ?


菊田さんの「花咲く港」、去年BSで放映したんですよね。録画しておけばよかったなあー。多分、普通に上質のコメディだったんだろうと思います。
キャストを吟味すれば、すごーーーく面白いですよ、きっと。

なのに。

…コホン。

植田さんに聞きたいことが、二つ、あります。

何故舞台をパリに移したの?
何故、ジョルジュがジュリアン・ジャッケの息子という設定を付け加えたんですか……?


最初の疑問の答えは、わかるような気がします。

華やかなパリ。
そのパリが、近代もっとも輝いた「黄金時代」、それがパリ万国博覧会の時代。
その「パリ万博」の目玉であったエッフェル塔を作る物語。

確かに、この設定が発表されるなり、ネットでの空気が(少し)変わったことは事実。

あ、塚ファンはここに喰いつくんだ、と。
(回りと意見が合わないことが多い)塚ファンの私は思ったものです。

でも。
「花咲く港」を観てもいないのに偉そうに言うのもなんですが。
多分。



原作の、一番おもしろいポイントは、
これが「田舎の出来事」だというところなんじゃないだろうか…?



聞きかじりなんですけど、原作は「船が週に1便しかない九州の小島」を舞台にしていて、「島のために新しい船を作ろう!」といってペテンにかける、というような話らしいじゃないですか。

つまり。

「トボけた都会の詐欺師」が、「純朴な田舎の人々」をペテンにかけようとして、彼らが「故郷のためにがんばる姿」に「ほだされ」ちゃうのが、本来のストーリーなんじゃないのかと思う訳なんですよ…

…それがなんで、華やかなりしパリの、しかも上流階級のお貴族様たちのパーティをえんえんとやってるような作品になっちゃうわけぇ?


「儲かる儲かるばかり言っては、かえって胡散臭くってよオッホッホッホッホ」と高笑いする末子姐(滝川末子)さんはこの上もなくステキなんですが。

株主にどう説明すればいいのか悩む財閥御曹司のあひる(遼河はるひ)くんも、声を発するだけで笑いがとれて素晴らいし。

誰よりも一番胡散臭い宿屋の女将、あ、いえ、自称「由緒あるオテルのオーナー」タキ(出雲綾)さんも、組長お披露目おめでとうございますお衣装の数々が羨ましい限りではあるのですが。

…ああもう、キャラクター多すぎるので明日以降に改めてさせていただきますけど!


あんな胡散臭い人たちに、どうして田舎者のペテン師コンビ(だって、パリまで汽車賃一人60フランかけて遥々来るんですよ…?田舎者なんじゃないの…?)が「ほだされ」なくっちゃならないんですか。

植田さん、ちょっと人間心理的にありえなくないですか…?

しかも。
原作では「週一便しか船がない」から、「逃げられる日も限られる」。なのに、逃げようとするたびに「何か」が起こって逃げそびれる、
そういうシチュエーションコメディの要素もあった筈。

それがパリじゃあ、「嵐で馬車もなかった」のはまぁいいけど、それ以外の日はいつだって逃げられるでしょ…?
しかも3年だよ3年。
なんで「逃げられる時に逃げなかったのは兄貴」になるの?


さらに、原作では作るのが船ですから、「嵐」が来ても、「人手でなんとか」なりますよ確かに。「みんなで協力」すれば、「嵐からも守れる」ものなんだもの。

だけど。「1000フィート=300メートルの鉄の塔」は、いくら「血を流しながら鉄骨を支えた」って守れるもんじゃありません。

それともアルマンドは実はサイボーグだったってゆーオチなんですかアレは?



せめて、パリッ子に浄財を募る話にすれば良かったんじゃないか、と思うんですよね。

パリに遊びに来た、南仏ではちょっと知られたペテン師コンビが、パリ下町の素朴な下宿屋で貧乏建築家のエッフェルに出会う。「地上と空を結ぶ橋を架けたい」という夢を聞いた二人は、その夢に賛同して(みせて)、パリッ子たちから浄財を募るうちに噂が広がり、ちょうど万博の目玉を探していた政府に目をつけられてーーーー!!

みたいな。

それだったら、たとえば女将さんがいると夜は外出できないから週に一回女将さんが留守にする時しか逃げられない、とかいう設定とかも考えられるし。

まぁ、3年という期間とか、嵐で守るモノの問題とかはどうにもならないけど…、そのくらいだったら目を瞑ることもできますよね。だって宝塚だもん!

舞台が「交通の便の悪い」「田舎」であること。
ペテン師コンビが「都会」から来たこと。

この2点は、原作を原作たらしめ、ハートフルコメディとして成立させるために必要不可欠な条件だったのではないでしょうか?

それを、完璧に逆転させた「パリの空よりも高く」。

植田さん、気は確かですか…?



そしてもう一つの問題が、ジョルジュの設定。

何故植田(紳)さんは、ペテン師コンビの片割れ・ジョルジュを、「20年前の第二回パリ万博の中心人物」ジュリアン・ジャッケの実の息子という設定にしたんでしょうか…?

その設定一つで、ものすごーーーーく話が捩れたと思うんですけど………。

まず「ジョルジュはジュリアンの息子なんだから、20歳以下(多分18歳か19歳、下手すると17歳かも!?)でなくてはならない」という設定があります。

…あのぉ?
………演じる大空祐飛は、研15なんですけどぉ?

いや、もちろん、わかってます。

私も大空ファンの一人ですが、それでもやっぱり、19歳だろうが10歳だろうが、逆に80歳だろうが役者たるもの、板の上に載る以上はなってみせろ!!とは思う訳なんですが。

いちおう、お手紙にも書いてみたりしましたし。

でもさ。

植田さん。それって虐めですか…?

いや。あの。

私が観ていた3日間の間にも、どんどん若くなっていってましたので、もう少し時間をいただければ、なんとかなるんじゃないかと一縷の希望を抱いてはいるのですが。

でも。
それでも、ね。

…新公のみりおくんが、ものすごーーーーく楽しみです。はい。
絶対「明日から本役と替われ!」と思ってしまいそうだ……。

そして。
そんなこと(ユウヒさんがんばれー!)よりさらに大きな問題があるんです。

だって。

ジョルジュがジュリアンの実の息子であるってことは。

そもそも、アルマンドはともかく、ジョルジュは「さびしーーーい処(麻子さんのこの言い方、好き)」に入る必要はないわけですよ。
だって、彼らが仕掛けたペテンは「ジュリアンがやったように、俺たちもパリ万博を盛り上げますよ!」っていうだけなんだから。

持ち逃げする現場を押さえられさえしなければ、ね。

さらに、一つ目の問題にも関わってくるんですけど、エッフェル塔なんてものに手を出しちゃったばっかりにペテンの期間が長すぎるんですよね…。


3年間真剣に取り組んで、世界一の塔をたててしまったジュリアン・ジャッケの息子とその仲間。

……そのままイベント屋でも開業してはいかがでしょうか……?


つまりさ。
話の根本がおかしくなっちゃうんですよ。

しかも、「なんのためにその設定が必要だったのか」がまったくわからない。

舞台をパリにしたことみたいに、「舞台を華やかにする」って目的もなければ、ジョルジュと父親のエピソードを使ってお涙頂戴場面を作るわけでもない。

タキさんがアルマンドに「父親」の思い出を話すシーンはあるけど、聞いてるのはジョルジュ(息子)じゃないし、ジョルジュが「俺も親父みたいに尊敬される人物になりたいなあ〜」っていう場面も、ちょっと工夫すれば感動場面にできると思うのに、そのまま茶化されて終わりだし…

…たとえば、天涯孤独な孤児ジョルジュが育った教会(勝手に設定を決めんなよ自分)の近所にジュリアンが住んでいて、時々教会に来ては華やかなりしパリの昔話をよくしていた、とか。
何かそんなような設定くらいで十分だと思うんですよ。

なのにわざわざ、ジュリアンの息子にしたのは何故なのか。

物語りの主題はあくまでもアルマンドとギスターヴなのに、なんでジョルジュの裏設定が必要なの?ってことです。

そもそも、ジュリアンが本当に「偉い」人物であったのかどうかもはっきりしないしね。
初見では、この人も実はペテン師だったっていう設定なんだろうと思いながら観てましたよ私は。最後まで。だって、最初にタキさんが「使途不明金があって行方をくらました」って話してるんだもん。

原作には、このジュリアンにあたる人物がいるんでしょうかねぇ?
少なくとも、ペテン師コンビは、島とはなんの係累もないって設定ではあるようですが。

ところで。
私がここまでえんえんと書いてきたのは、決して愚痴ではありません。

なんか色々書いちゃいましたけど、菊田さんの原作はとっても良くできたコメディだと思うんですよ。
だから。

舞台を観ながら。
「ここは田舎。パリっていう名の田舎の話」とか、
「このひとたちは、見た目はちょっと胡散臭いけど、
 みんな純朴でいいひとたちなのよ」とか、
「汽車は1週間に一本しか動いてないのよ」とか、
「このひとはこう見えても19歳なの。若いのよ!」とか。

いちいち自分に言い聞かせてみたら、いろいろなことが誤魔化せて面白くなったんですよ☆

というわけで。
以上、「パリの空よりも高く」を3倍楽しむ方法、でした(泣笑)。


舞台設定だけで長くなってしまって、キャストを語れなかった(涙)。

とりあえず、一言づつ書かせてください。また詳しくは後日。

アルマンド 推定年齢25歳。
 かっこいいいいいいいい!
 ペテン師らしい胡乱さと、若さゆえの誠実さのバランスがいいです。
 コメディらしい声色の使いわけとか、さすが花組仕込みと感心しました。
 そのままでいいので、一人で突っ走らないで時々回りを見てあげてくださいね。

 本当は30歳だけど若作りして25歳に見せてます、みたいなイメージが
 作れるともっといいんだけど、まぁ「ダメなペテン師」だからな…。
 
 

ミミ 推定年齢19歳。
 アルマンドへの密かな憧れがダダ漏れしていて可愛いです(笑)。
 ギスターヴに対しても、それなりに甘い気持はあったってことでOK?
 アルマンドとギスターヴの間で揺れる場面がないのが残念!

 ジョルジュのスルーっぷりが見事でとっても笑えます。
 …もしかして、ジョルジュの方が年下設定?
 
 
 
ギスターヴ 推定年齢20代後半。アルマンドより1,2歳上?
 私は配役発表されるまできりやんがジョルジュだと信じて疑わなかったので
 今でもものすごーーーーく残念なのですが…

 でもでも。
 ギスターヴ、良かったです。 とっても。
 脚本的にアルマンドと絡む場面が少なかったのが残念!
 でも、きりやんらしいギスターヴでしたね。
 最後、パリ郊外の丘まで一緒に来ちゃってもよかったと思うけど
 それはしないところがギスターヴらしいのかも。

 あああでもでも、出番減らして歌無しでいいから、
 ユウヒさんのギスターヴが観たかったよおお(身勝手)。
 ってゆーか麻キリのペテン師コンビが観たかったよおおお。
 
 
 
ジョルジュ 推定年齢はせいぜい24歳でしたが、がんばって18歳くらいまで…
 あまりに気の毒で、かける言葉もありません。
 せめて衣装がもっと子供っぽければいいのにね。無意味に立派で
 大人っぽいんだよ。難しい…。

 でも。
 役者たるもの、与えられた役の人物になりきれないのなら
 舞台に立つ資格はないんです。
 植田さんもユウヒさんを信じてるんですよ、きっと(え?)。

 …麻子さんの「気合い」、しっかり受けてあげてくださいねっ!!

  

ジャン 推定年齢12歳。
 可愛いです。犯罪的に可愛いです。
 キャトルでジャン人形発売してもらえないだろうか。
 …絶対買うのに…(言いたいことはそれだけか)。

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